1000年の時を越えても
失われない将門のパワー
将門塚を含む現地周辺のブロックは、ここ数年の間にも再開発工事が行われているが、開発計画のエリアから見事に将門塚だけがはずされている。
そればかりか、塚の三方を囲む高層ビル内では、嘘か真か、将門公にお尻を向けないよう、塚がある方向に向けて机を並べているとも聞く。1000年以上の時を経てもこれほどの影響力を発揮しているのは、たしかに将門の強力なパワーの賜物というほかないだろう。
何より将門は、首1つになっても「帰りたい」と強く念じ、ついには空を飛んでいったほど、故郷を大切に思っていた人物だ。祟り神と見るか、それともこの土地を大切に守るために帰ってきた存在と見るかは、受け手の心持ち次第なのかもしれない。
そう視点を切り替えてみると、常に手入れの行き届いた将門塚は、コンクリートジャングルの中の一服の清涼地と思える長閑なスポットで、心安らぐ雰囲気すらある。
将門の「帰りたい」という強い想いになぞらえて、塚には蛙の置物がいくつか奉納されている。最近では、行方の知れない家族の安否を懸念する人や、不本意な転勤を命じられた会社員がお参りに来ることも多いという。
将門塚は単なるオカルトスポットではない。むしろ、関東随一のパワースポットとして鎮座する、偉大なる旧跡なのだ。
