「〇億円の当選者が〇人も出ました!」といった打ち出しをしている宝くじ売り場がありますよね。そうした場面に遭遇したとき、あなたは「ここは当たりやすい宝くじ売り場だ!」と思うでしょうか?
小倉優子さんへの受験サポートで注目を集め、近著『「思考」が整う東大ノート。』も話題の西岡壱誠さんは、頭のいい人は日々の生活の中でも「思考」していると言います。
本記事では、西岡さんに「頭がいい人の思考の条件」を聞きました。
「1/3と1/5の中間の数」
パッと答えられますか?
突然ですが、みなさんは「1/3と1/5の中間の数」はいくつか、わかりますか?
3と5という数字を見て、「3と5の中間なんだから4だろう。1/4ではないか」と考える人が多いと思いますが、実は違います。
1/3と1/5の分母を揃えると、
・1/3→5/15
・1/5→3/15
になります。「3/15と5/15の中間の数字はいくつ?」という問題と等しいのです。そうなると正解は、4/15となります。
「東大生をはじめ、頭のいい人はどんなところが違うのか」ということを僕はずっと考えてきた人間なのですが、「直接的には見えていないものを思考する力」の有無が重要なのではないかと思います。
今回の問題で言えば、「1/3→5/15」「1/5→3/15」という変換のことですね。
「3億円の当選者が〇人!」
“当たりやすい宝くじ売り場”って存在する?
たとえば、「この宝くじ売り場は、3億円の当選者が過去に3人も出ました!」という宝くじ売り場ってよくありますよね。
みなさんはこの宝くじ売り場について、「すごい!」と考えますか? それとも、何かカラクリがあるんじゃないかと考えますか?
確率は同じはずなのに、「当たる宝くじ売り場」と「当たりにくい宝くじ売り場」があると言われると、なんだか「運」がいいところと悪いところがあるのかな、と考えてしまいますよね。
もしかしたら本当に「運がいい宝くじ売り場」も存在するかもしれないのですが、ほとんどの宝くじ売り場は、「運がいいから」宝くじが当たるのではありません。
利用者が多いから、「当たる宝くじ売り場」になっているのです。「割合」は変わらなくても、「利用者」が多ければ、当選する人の数は多くなるからです。
ちゃんと「思考」すると…
仮に、10万人が買うA売り場と、100万人が買うB売り場があるとしましょう。
10万分の1で当たるくじだと仮定すると、A売り場は1人くらい当たっている可能性が高く、B売り場は10人くらい当たっている可能性が高いですね。確率的にはとても当たり前の話です。が、「何人買ったか」を隠すと、話がややこしくなります。
「A売り場は、1人当たっています」「B売り場は、10人当たっています」と言われると、「え! B売り場ってそんなに当選しているの? B売り場って当たりやすいのかな!」と考えてしまいます。
これは、分数の勉強をしている人ならわかると思うのですが、同じ割合でも、分母が多くなれば、分子も多くなります。
「SSRが当たる確率1%!」というガチャは、100回まわせば1回当たる可能性がありますが、1000回まわせば10回当たる可能性があります。割合は一緒で「1%」ですが、片方は1回・片方が10回当たっているわけです。
「当たっている宝くじ売り場」は、当たりの確率が大きいのではなく、「その宝くじ売り場で宝くじを買っている人が多い」というだけなのです。
「頭がいい人」の条件とは?
「頭がいい」というのは、目の前の数字をそのまま受け入れるのではなく、「直接的には見えていない数字」を探す能力がある状態だと思います。
素直に目の前に見えていることを受け入れるのではなく、「何か違った見え方があるのではないか」と考える必要があるのです。