怪しいアンケートの集計結果が
マーケティング現場でフル活用
ランキングの大半は、購入件数など実際の数値を測定した順位付けか、アンケートの回答数に応じた順位付けかの2パターンではないかと思います。
特にマーケティングの現場においてはアンケートによるランキングがけっこう重宝されているのではないでしょうか。たった1人の意見は主観ですが、それを大勢集めると「客観」として通用します。意見は数を集めるほど「客観性」が高まり、「1人」の意見の重みが相対的に下がります。
しかし多くの人はそうした「サンプルサイズ」を気にせずに、ランキングを信用してしまいがちです。これを「サンプルサイズに対する鈍感さ」と呼んでいます。
少数のサンプルを調べただけで全体の傾向を理解したつもりになったり、代表的な値だけに注目したりする傾向。特に「率(%)」について、どれだけのサンプル数を集めたのかを無視してしまうと数字を見誤ってしまう。大勢に聞くよりも、少数の「良い」とする意見だけを取り上げて「こんなに評価されている」と宣伝するのは間違っています。
・具体例
4回コイントスを行って1回表が出たコインを「表が20%出るコイン」と捉えるのは間違っています。表が出る確率が50%だったとして、それを確かめるのにコイントスを4回しか行わないのはサンプル数が不足しています。
他にも、80%の人がAよりもBを美味しいと評価しました、と宣伝したとしても、回答者がたった10人であれば、もう少し大勢に聞けば結果は変わった可能性があります。
サンプル数は多いにこしたことはありません。一方で、ただ無条件に大勢聞けば良いものでもありません。
例えば新宿駅前でOLに好きなアパレルブランドを聞いたとします。果たして、その結果は「OLの意見を代表している」と言えるでしょうか。まずOLといっても、新宿のOLと丸の内のOL、そして品川のOLでは好みが違っているでしょう。そもそも新宿にはアパレル店舗が数多く出店していますので、そのOLが直前まで覗いていたブランドを思い出して回答してしまうと、結果に偏りが生じます。
サンプルサイズの量だけでなくサンプルサイズの質もまた重要なのです。