JR東海の経営は順調の一言
「のぞみ」輸送量はコロナ前水準に

 JR東海は、連結営業収益が前年同期比約402億円増(約10%増)の約4353億円、連結営業利益が同約378億円増(約26%増)の約1843億円、連結経常利益が同約420億円(約32%増)の約1713億円となった。2018年度同期比では、連結営業収益は約97%、連結営業利益が約94%、連結経常利益が約97%の水準となる。

 JR東海の経営は順調の一言だ。同社の連結営業収益の8割以上、連結営業利益の9割以上が東海道新幹線によるものだが、2024年度第1四半期の新幹線の運輸収入は約3124億円、2018年度同期は約3188億円で約2%の増収だ。

 一方、単体の営業費を比較すると2024年度が約1871億円に対し、2018年度は約1683億円で約11%増加している。さらに細かく見ると、人件費、租税公課、減価償却費は大きく変わらないが、運行に要する経費である物件費が約30%増加している。これは2020年3月のダイヤ改正で「のぞみ」最大毎時12本運転を開始したことが影響しているだろう。

 2024年度月次情報によれば、東京口の対2018年度輸送量は平日がおおむね90~93%、土休日は102~105%で、ビジネス主体の平日の利用は戻っていないが、「のぞみ」全体では98~102%の水準を確保した。単体の営業利益は約1869億円から約1754億円に減益となったが、収入はキープしつつ経費増の分だけ減益となった格好だ。

 もっともJR東海の歴史上、2018年度の営業利益約6677億円は空前の利益であった。リーマンショック以降の深刻な不況で2009年度に約2741億円まで落ち込むが、ここから回復に転じ、2013年度に単体営業利益が過去最高の約4608億円を記録。その後も増益を重ねた。2023年度の約5663億円、2024年度の予想5730億円は2015~2016年度の水準である。

 JR本州3社の「アフターコロナ」は、これまでとは異なる三者三様の展開を迎えそうだ。今回の第1四半期決算は、そんな未来を予感させる内容だった。