運賃・料金の見直しなどで
JR西日本は運輸収入を維持

 JR西日本は、連結営業収益が前年同期比約335億円増(約10%増)の約4028億円、連結営業利益が同約60億円増(約12%増)の約582億円、連結経常利益が同約66億円増(約14%増)の約552億円となった。2018年度同期比では、連結営業収益は約115%、連結営業利益が約97%、連結経常利益が約98%の水準となる。

 同社の流通業は約497億円、旅行・地域ソリューション業は約442億円、あわせて連結営業収益の1割以上の規模を有するが、どちらも2020年度に適用された収益認識に関する会計基準の影響が大きい。また、2023年度にセグメント区分を変更したため直接比較ができない。

 そこで鉄道輸送量(人キロ=それぞれの旅客の乗車距離の合計)で比較すると、2018年度第1四半期の約147億人キロに対して2024年度は9%減の134億人キロだが、運輸収入では約2137億円から約2124億円でほぼ並んでいる。

 これは2023年4月に京阪神エリアの特定運賃や乗り継ぎ割引の見直し、バリアフリー料金制度の導入など、届け出の範囲内で運賃・料金を見直した結果だ。ただ足元では移動需要の回復、インバウンド需要の増大で運輸収入自体が増加傾向にあることも事実だ。

 国土交通省は今年、運賃認可の基準となる原価算定算出要領を改正し、より広い範囲を原価に参入できるようにしたが、JR西日本は「新しい要領を踏まえても、足元の運輸収入増により、運賃改定の余地は当面ない」と判断している。

 以前、取り上げたようにJR九州は7月19日、2025年4月の運賃値上げに向けて上限運賃変更認可申請を行った(https://diamond.jp/articles/-/347598)。またJR東日本も運賃改定への意欲を示しており、各社の方針は分かれそうだ。