つい「ポジティブにならなきゃ」と焦っていないだろうか?
「ポジティブ思考」が求められる風潮の中、無理に笑顔をつくっている人も多いはず。
本連載では、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション社長・木下勝寿氏が、悩まない人になるコツを紹介する。
いま「現実のビジネス現場において“根拠なきポジティブ”はただの現実逃避、“鋼のメンタル”とはただの鈍感人間。ビジネス現場での悩み解消法は『思考アルゴリズム』だ」と言い切る木下氏の最新刊『「悩まない人」の考え方 ── 1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』が話題となっている。
本稿では、根拠のないポジティブ思考の落とし穴を指摘し、悩んでいる人にやってほしい「本当に役立つ考え方」を紹介する。(構成/照宮遼子)

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疲れる「ポジティブ」から、
ラクになる「ポジティブ」へ

 ポジティブ思考がいいとされる風潮の中で、無理にポジティブになって疲れてしまうことがあると思いますが、安易なポジティブは、ただ問題を無視しているにすぎず、結局また同じ問題が起きて悩む羽目になります。

 もちろん、ネガティブよりポジティブであったほうがいいとは思いますが、疲れないポジティブになるには「根拠」が必要になります。

 たとえば、雨が降ったときに、「雨が降ってきたけど、ポジティブな気分でいよう」と思うのは、根拠のないポジティブです。

 そうではなく、「雨が降ってきたけど、そのおかげでタクシーに乗る人が増え、電車がすくからラッキーだよね」というように、ポジティブな気持ちになるきちんとした背景や根拠を考える癖をつけるようにしましょう。

「考える」習慣が、あなたを変える

 悩まない人と単なるポジティブな人は、まったく異なります

 単純に明るい未来だけを見ている人は、いざ何かを始めたとき、うまくいくかどうか不安になります。

 その不安から目をそむけ、さらにポジティブになっていき、うまくいかない事態に陥った瞬間、ポキッと心が折れてしまうのです。

 この本を通して伝えたいテーマは、「考えなさい」ということ。
 むやみに悩むのではなく、もっと深く考えてほしいのです。

 悩まない人は、何も考えていないわけではありません。
 むしろその逆で、悩まない人ほど最悪の未来についてじっくり考え、そのとき何が起きるかを想定し、その事態に耐えられると判断して初めて動き出すのです。

 つまり悩まない人は、きちんと考えているから、問題が起きても悩まないのです。

 経営の世界では、「目標は楽観的に、計画は悲観的に」という言葉があります。

 目標を立てるときは楽観的でいいのですが、実際に計画を立てて行動していく段階では、うまくいくはずがないという前提で悲観的に考えます。

 うまくいかなかったときの代替案がなければ、たいていの場合、何か問題があると玉砕してしまうからです。

 たまに目標そのものが悲観的な人もいますが、それは目標ではなく単なる予測にすぎません。

 達成できそうな目標しか立てていないので、それ以上の成長は見込めないというわけです。

マイナス思考をプラスに! 最強の思考アルゴリズムとは?

 本書では、一生悩まない思考アルゴリズム(考え方のクセ)を30個紹介していますが、最後の30個目は、「とりあえず『ラッキー!』と口にすべき非スピリチュアルな理由。」です。

 一転して根拠のないポジティブを持ち上げているように見えますが、実はそうではありません。

 思考アルゴリズムの1~29までは、悪いと思っていることは実は悪いことではなく、そうした思い込みを外し、悩みを解消するための解説をしています。

 しかし、最後の30個目だけは、1~29を理解したうえで、マイナスからプラスの解釈を生み出す思考グセを身につけようという内容になっています。

 常にトラブルを「ラッキー!」に変えていけるようになると、トラブルそのものが自分を前に進ませてくれる原動力に変わっていきます。

 つまり「ラッキー!」と思うことは、最強の思考アルゴリズムなのです。
 トラブルを楽しめるようになると、たいていのことでは悩まないようになっていきますよ。

(本稿は『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による特別投稿です)