時代の変化を見ながら、自分たちのビジョンを明確に持ち、その実現のために何をするかを具体的に打ち出し、実行できている学校は本物です。キラキラしたワードに飾られたブランドではなく、その中身を見極める目を持つことが必要でしょう。

 一方、関西や名古屋はまたニーズが違うようで、大学進学に強い学校と大学附属校が根強く人気のようです。入試も4科目、3科目入試が主流で、英語入試以外の新タイプ入試を行う学校はありません。ただ、関西や名古屋でも、探究的学びやグローバル教育、高大連携は広がっています。

志望者が減っている学校「たった1つの共通点」

 ここまで、志望者が増えている学校を見てきましたが、志望者が減っている学校もあります。かつては偏差値も高かったのに志願者が年々減少し、結果的に偏差値まで下がっている学校があるのです。なぜ、志望者が減ってしまったのでしょうか。

 その理由としては、立地の悪さ、設備の古さ、教育内容がアップデートされていないなど、さまざまなものがありますが、共通した印象として「明確に特徴を打ち出せていない学校が苦戦している」というものがあります。取材を行う私からすると「信念を持っていい教育をしているのに伝わっていない」と残念な気持ちになる学校もあるのですが……(逆に結果はまだ出ていないのに、広報が上手で志願者を集めている学校もあります)。

 最近はSNSで情報収集する人も増えているので、そういうニーズに応えられていない学校は不利になるでしょう。しかし、そういった地味な学校の中に自分の子どもに合う学校が見つかるかもしれません。実際、模試会場で初めて訪れた学校で、その学校の生徒の様子を見て学校のファンになり、受験を決めたという人もいました。

 昔は学校情報を持っているのは塾の先生だったのですが、今は知っていたとしても難関校に偏りがちで、中堅校以下の情報には疎い方もいますし、入試問題分析には長けていても、学校教育の中身まで把握して学校をすすめてくれるわけではありません。

 このような状況もあるので、自分の子どもにとってよい学校と出合うためには、人任せにせず、自分で足を運ぶ努力を惜しんではいけないのです。たくさんある学校の中から、お子さんに合う学校を見つけるのは簡単ではありませんが、いろんな学校を見るのは楽しくもありますよ。