大きな葛藤が生じたとき
プレッシャーでつぶれないためには

 これまで見てきたように、不安や疲労の第2~第3段階になってくると、いつもはそれほど問題でないことでも、大きな問題だと感じられ、強い不安として感じられるものなのです。

 問題解決の方法だけで考える人は、このときにも問題解決に必死になってしまいます。

 情報を集め論理的に考察し、いまできることまでをきちんと考えていくのですが、それでも不安は落ち着かないし、行動すらできない……となると、そんな自分へのダメ出しが多くなり、不安の闇堕ちモードに陥ってしまいます。

 なかには、理性的な思考に自信を持っている人もいるでしょう。何か大きな葛藤が生じたときも、冷静に両案のメリットやデメリットを分析して決定し、行動できると思っています。

※文中に登場する疲労の3段階について
■疲労の第1段階=通常疲労レベル
■疲労の第2段階=疲労が蓄積され不安が2倍に
■疲労の第3段階=疲労も不安も3倍モード
図表3:不安とリンクする疲労の3段階同書より転載
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 ところが、いくら冷静にメリット、デメリットを分析しても、不安や疲労の第2~第3段階になってくるとデメリットのほうだけが2倍3倍に大きくなって、どちらの案をとっても悲劇的な結末になるとしかイメージできなくなるのです。

 そうなると、命がかかる(と感じられる)ような重要な選択を、簡単にはできなくなります。また、どちらの案もうまくいきそうもないのに、「どちらかを選択しなければならない」などと周囲から詰め寄られたら、よけいにプレッシャーでつぶれそうになってしまいます。

 このように、理性の分析で八方塞がりになると、行動しにくくなってしまうし(すくむ機能)、その苦しい状態からなかなか抜け出せなくなります

 そういうときのためには、日頃から理性だけでなく、感覚や好き嫌い、勘で選択をする練習を積んでおくといいのです。