ただし、もし野田氏が党首になったとしても、政権交代には難題がいくつもあります。前回の総選挙では立憲と共産党は選挙区調整をしていましたが、今回はまだです。また、日本維新の会は躍進して、全国に100人以上の候補者を準備し、そう簡単に選挙区調整には応じないという懸念もあります。

 しかし、野田氏の言う「無党派層はもとより、自民党に失望した保守層を巻き込み、自民を単独過半数割れに追い込むことが大戦略。対自民では戦闘力、野党連携には包容力が必要です」という方法なら、可能性はあるかもしれません。左派の枝野幸男氏、経験不足の吉田晴美氏、推薦人もまだ集まらない泉健太氏には、こうした戦略が望めないのです。

「刷新感」だけでは日本を救えない
立憲民主党が取り組むべき「自民攻撃公約」

 とにかく一度政権交代をしないと、「刷新感」だけではこの国は救えない。それを徹底的に国民に認知させるために、立憲民主党は代表選時から近い将来を見据え、野党統一の「自民党攻撃公約」決める作業に取り組んでほしいと私は提案します。

 その第一は、野田氏が立候補の第一声で放った世襲議員の禁止です。政権をとったら世襲議員を禁止する。もちろん基本的人権により立候補する権利はありますが、「他国のように自分の親戚(親以外でも)の選挙区を継ぐことはできない」「同じ県内だと中選挙区からの後援会の流れは続いているので、他府県からの立候補しか認めない」といった方針にすれば、しがらみや利権から自民党を完全に分離させることができます。

 もちろん、政治資金が無税で相続できる権利も廃止します。ジバン、カンバン、カバンのすべてを自民党から奪うのです。また地方無視、地元を顧みない体質が根底にある格差社会も、東京育ちで地元を知らない世襲議員がいなくなれば、是正できるでしょう。他にも、マイナンバーの健康保険などへの拡大も一時中止し、制度設計から見直します。政治資金はデジタル化して、全部透明化します。これらを共同政策にすれば、野合批判はなくなるでしょう。

 次に重要なのは選挙協力です。野田氏の包容力は、維新や共産とも話し合いにより、勝てる選挙協力を実現できる可能性を秘めています。しかし、私はあえて一人の軍師を推薦します。東京都知事選で、選挙中メディアに一度も取り上げられなかったのに15万票を獲得して5位になった、AIの専門家・安野貴博氏です。安野氏を三顧の礼で、選挙区割りと政策作りの軍師として起用してほしいのです。