ニトリ、良品計画、日清食品にヤクルト…
どれも買収のターゲットになり得る

 一方で、今回の一件で明らかになったのは、同じ着眼点で眺めるともっと安い日本企業がたくさんあるということです。

 優良企業で日本市場ではほぼドミナントな地位にあり、アジア進出もうまく行き始めているが、まだ本格成長はこれからだ。そのような会社で時価総額が数千億円から2兆円台と、外資から見れば「買える」優良企業が日本にはたくさんあります。

 具体例を挙げればニトリや、ドン・キホーテを運営するパンパシフィックHDは企業価値2兆円台の企業ですが、アジアでさらに事業展開が進めばユニクロと同じ時価総額10兆円台も狙える会社です。

 時価総額がさらに低くて日本では人気のブランドとしては良品計画やワークマンも外資からは魅力的です。

 IPビジネスで世界トップ3の価値があるキャラを擁するサンリオは海外からみれば激安企業です。人気の食品ブランドではカップヌードルの日清食品やヤクルト、グローバルサウスの成長を考えると日立建機やヤマハ発動機だって、今外資が手に入れれば将来のグローバルでの成長分で投資の元はとれると考えるはずです。

 なぜそうなったのかというと、ひとつは円安で、もうひとつは株安が要因です。

 日本人から見ればアベノミクス以降、日経平均は大幅に上がったように見えていますが、外国人から見ればドル建ての日経平均はそこまで大きな上昇ではなく、かつ30年ぶりにバルブ時の最高値を更新した株価はまだそのあたりで停滞しています。

「だったら日本の優良企業を買ったほうがいい」、外資がそう考え始めているのです。