社外取締役のプロ化で
敵対的買収を却下しにくい状況に
日本では企業ガバナンスの強化の視点で、それ以前は社内から昇進した役員ばかりだった取締役会を、社外取締役中心のアメリカ型の役員会へと構造改革してきました。とはいえ、その社外取締役が社長の友人などイエスマン中心で構成されていれば問題はありません。
ところが近年、多くの上場企業では中立的なプロ経営者を社外取締役に選任する傾向が強まっています。それも優良企業ほどその傾向が強いのです。
理由は経営者がもっと勉強したいからです。
これまでの社内から昇進した取締役ばかりの役員会ではたまに耳が痛い意見が出るぐらいで、たいした議論はできないものでした。ところが、経験を積んだプロの社外取締役が増えてくると、自分の会社や業界のことしか知らない経営者から見れば目から鱗のような建設的な意見が取締役会で飛び交います。
これが上昇志向のある経営者にとっては心地がいいものです。そんなことからこの10年くらいで上場企業の取締役会はプロ取締役で過半を占められるようになってきたのです。
その状況が皮肉なことに敵対的買収にはマイナスに働きます。というのは社外取締役は一義的にはその立場は株主の代理人なのです。