セブンの買収提案に
「外為法の外資規制」が適用されるかは微妙

 ちなみに、今回のセブンの買収報道で話題になった「外為法の外資規制」についても触れておきましょう。

 財務省は外資が買収をする場合に外為法の要請で事前に審査が必要な日本企業約500社のリストを公表しています。基本的には半導体や航空機、ロボットなど経済安保に関わる企業がその対象ですが、実はセブン&アイもリストに入っています。

 理由はセブン&アイの傘下に警備会社があるからです。警備は安全保障上確かに重要なので、セブンを買収しようとする外資はまず事前審査を申請しなければならないのです。この条項があるため、仮に外資がセブンを買収しようとしても国が守ってくれるのではないかという議論がありました。

 しかし、現実にはこれは微妙です。

 というのも財務省や東証、そして国の意向は日本企業への海外からの投資を増やすことに主眼があります。どんどん投資をしてくれと言いながら、いざ買われてしまいそうになったらそれを止めるようだと、日本への投資の流れは止まってしまいます。

 財務省も本件については買収防衛目的でこの条項を濫用することはない旨、明言しています。とはいえ「微妙だ」というのはセブン&アイ傘下のコンビニ、セブン-イレブンの場合は雇用人数の面から国の経済安全保障には確実に関係してくるはずです。

 むしろ問題はセブンほどは日本全体に影響を及ぼさない優良企業でしょう。その意味で冒頭お話しした時価総額数千億円から2兆円台までの優良企業は、別の形での企業防衛策を考えなくてはいけなくなるでしょう。