社外取締役は買収に対して
「株主の利害」を軸にフェアに検討する
セブン&アイにしても富士ソフトにしても、それ以外の日本企業にしても、経営陣にたいして海外から「わたしのほうがもっとうまく経営できるから代わりなさい」というような提案をつきつけられたら、経営陣は即座に跳ね返そうと考えるでしょう。「今のうちの戦略と全く方向性が合わない」という理由で。
しかし株主の代理人である社外取締役はその提案を別の視点で吟味します。たとえば仮定の話ですが、もし、セブンに対してアリマンタシュオン・クシュタールが「現金8兆円でTOBをかけます」と言ってきたらどうでしょう。株主からみれば株価が一気に1.4倍になります。
仮にその代償となる条件が井阪CEOと創業家役員の退任だったとしても、提案は株主の利害の視点でフェアに検討する必要があります。セブンの場合はおそらくそのような提案が来ないから大丈夫なわけで、セブンほど規模が大きくない他の上場企業の場合はこのような提案リスクは他人事ではないでしょう。