職場で嫌な思いをしても言わない
理由は「言っても変わらないから」

 マダネ プロジェクトでは当事者にさまざまな意識調査やヒアリングを実施。前回、岸田政権の「異次元の少子化対策」が進む陰で、職場で起こっている「しわ寄せ」について言及したが、そんな女性たちの存在を浮き彫りにするデータがある(図1)。

「私たちが行った意識調査では、子どもがいないことで職場で嫌な思いをした経験がある人は75.2%を占めていました。一方で、職場に意見や不満を伝えた人はわずか9.9%でした」(くどうさん)

 具体的に「嫌な思いをした」事柄として、「子どもがいない人への偏見」「仕事のしわ寄せ」「子なしハラスメント」「職場での疎外感」「子どもがいる人の優遇」などがあった。

 それらによって「仕事へのモチベーションや生産性が下がった」人は55.0%と半数を占める。しかし、職場に意見や不満を伝えたことがない人が83.7%と大多数で、その理由は「言っても変わらないと思うから」(52.4%)、「子育てに理解がない人と思われるから」(44.9%)、「タブー感があるから」(44.3%)など、半ば諦めの気持ちを抱えていることが分かる。一方で「子育てと仕事の両立は大変だから」という回答もも34.6%あった。 

図1 子どもがいないことで職場で嫌な思いを経験するが、不満は表明していない

子どものいない働く女性202人(平均年齢42.9歳)を対象に行った意識調査より。子どもがいないことで職場で嫌な思いをした経験者は75.2%。意見や不満を職場に伝えたことがない人は83.7%と多数だった
出所:「子どもの有無による働き方の意識調査(マダネプロジェクト2020)」