同好会や市民団体の
まとめ役となっていく

 お祭りはお祭り好きの同好会に、子ども会は子どもの活動をやっている団体に、ごみ集積所の管理は環境美化の団体に、親睦行事や防災活動もそれを引き受けてくれる市民団体があるだろう。なければやめてもよいし、業者に委託したってよい。そのための補助金を取る専門スタッフを雇ったっていいのである。

 もちろん、純粋な行政の下請け仕事に関心をもつ市民団体は少ないだろうから、お知らせの配布などは業者に依頼し、各種委員の募集などは町内会から各団体に呼びかければよい。本来は行政がやるべきことなのだから、引き受け手がいなければ断ってもよい。

 このように、具体的な活動については、その活動に関心をもってやりたい人が自由にやれるようにするのである。町内会は全体的な調整と決定だけをやればよい。骨の折れる具体的活動からは身を引き、それだけを引き受けるのならば、長年の活動で培ってきた役員たちの信頼や人脈が活かされるだろう。

 他方、市民活動団体がそうやって日頃から町内会に関わりをもっていれば、協議の場は誰もが参加できる開かれたものになるだろう。個々の市民団体は行政に言いたいことがたくさんあるだろうし、議会に要求ができるなら、その場を活用したいと考えるだろう。

 町内会という日本の近代が生み出したかけがえのない資産を、行政との折衝と議会への政治的要求とを可能にする、市民の協議の場へと受け継ぐことはできないかというのが、筆者の結論なのである。