サウナの入り方に戸惑う初心者から、サウナ慣れしてととのいにくくなってきた熟練サウナーまで! それぞれに合わせた「究極にととのう」ための入り方を、自らもサウナーの医師が解説した書籍「医者が教える 究極にととのう サウナ大全」が話題です。 日常のパフォーマンスをあげ、美と健康をレベルアップする「最高のサウナの入り方」を、世界各国のエビデンスを元に教えます。この連載では本書より、一部を抜粋してご紹介します。
安全、かつ、ととのうための水風呂の入り方
水風呂といっても、温度は施設によって様々です。「グルシン(シングル)」と呼ばれる1桁(9℃以下)のものや、水道水をそのまま使っているぬるめのものなど色々あります。
サウナ初心者にとって最大の難関は水風呂かもしれません。安全かつ、ととのうためにはどのような水風呂に入ればいいのでしょうか。
15℃以下だと痛みを感じる
人体にはTRPチャネルという温度センサーが備わっています。生命が危うい温度になると「痛み」として現れて、危険を知らせてくれるのです。
最も高温のTRPV2チャネルが50℃以上、次のTRPV1が40℃以上です。タンパク質の変性が始まる42~43℃あたりではTRPV1が活性化し痛みとして人体に警告します。低温側はTRPA1チャネルが16~17℃付近なので15℃以下の水風呂は「痛い」と感じます。鼻に水が入ったときに痛みを感じるのもTRPA1の働きです。ちなみにその前のセンサーはTRPM8で、こちらは快適な清涼感を感じます。メンソールを嗅いだときもTRPM8が働きます。
水温が低ければ低いほど深部体温が下がる
サウナ初心者の方からすると、「冬場に水風呂に入って外気浴なんてしたら、寒くて死んでしまうのでは?」と心配かもしれません。でも、実際は全然寒くなくて、むしろポカポカして気持ちがいいですよ。
というのは、水風呂に適切な時間入ることで体が魔法瓶のように熱を閉じ込めてくれるから。
水風呂に入ると皮膚表面の血管が収縮して熱を閉じ込めます。さらに、中心部はサウナ室で蓄えた熱がこもっている。つまり、体が魔法瓶状態になるのです。実際、深部体温はサウナ室に入る前よりも水風呂に入った後のほうが0.6℃高くなります(1回サウナ室に入ることで0.8℃上がり、水風呂に入ることで0.2℃下がるものの、結果的に1セットで0.6℃上がった状態になる)。しかし、水温が低すぎると、せっかくサウナ室で温まった深部体温が下がりすぎます。熱源である深部体温を下げてはいけません。
16~18℃の水風呂がベスト
ととのうためには、熱いサウナ室→冷たい水風呂という振り幅の大きいステップが欠かせません。それを踏まえると「人体が痛みを感じないギリギリの水温=16~18℃」がベスト。
また、深部体温を下げないためにも温度が低すぎるのはよくありません。
*本記事は、「医者が教える 究極にととのうサウナ大全」から抜粋・編集したものです。