サウナの入り方に戸惑う初心者から、サウナ慣れしてととのいにくくなってきた熟練サウナーまで! それぞれに合わせた「究極にととのう」ための入り方を、自らもサウナーの医師が解説した書籍「医者が教える 究極にととのう サウナ大全」が話題です。日常のパフォーマンスをあげ、美と健康をレベルアップする「最高のサウナの入り方」を、世界各国のエビデンスを元に教えます。この連載では本書より、一部を抜粋してご紹介します。
水風呂が苦手だった本書編集者もこの方法で「水風呂」好きに!
サウナ室から出たら汗をシャワーで流して水風呂に入ります。最初のうちは足先を入れるだけで辛いかもしれませんね。
でも、大丈夫。徐々に体を慣らしていけば、入るときの辛さが和らいで、すっぽり体を沈められるようになります。
次のことをためしてみてください。
①まずはぬるめの水シャワーで体を慣らす
体が慣れていない初心者の場合は、ヒートショック(急激な温度変化によって血圧が大きく変動することで、失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こすこと)を起こす可能性を否定できません。したがって、しばらくの間は事前にぬるめの水シャワーを浴びて体を慣らしていきましょう。
ちなみに、熟練サウナーの中には、汗を流すときに熱いシャワーを浴びて、水風呂との温度差を楽しむ方がいますが、ヒートショックを起こしやすいので大変危険です。また、いきなり顔に冷水をかけるのもNG。顔面に冷水をかけると自律神経反射が起こり失神・転倒のリスクがあります(詳しくはP202)。
②息を止めない
水風呂が苦手な方の多くは、息をこらえて「うっ」となりながら体を沈めていると思います。しかし実は、この「息を止めて身構えて入る」というのは最悪の入り方。心臓に負担がかかりやすく、しんどく感じやすいのです。
その理由を説明しましょう。まず、息を止める前に、事前に大きく息を吸い込んでいると思います。このとき肺はふくらみ、横隔膜は下がります。そして、その反動で腹部の血液がぐーっと押し出されます。その結果、心臓に大量の血液が戻ってきて心臓がバクバクする=心臓に負担がかかります。
それにもかかわらず、相変わらず息を止め、寒さで身を縮めていると、横隔膜は下がったまま。ずっと心臓に負担がかかってしまいます。
③息を吐きながら「気持ちいい~」と言って入る
その理由は3つあります。
1▶息を吐くとバクバク感が抑えられる
息を吐くと横隔膜は上がります。すると、横隔膜によって押し出される腹部の血流量が減るため、心臓に戻る血液も減ります。その結果、バクバク感が抑えられ、しんどい感覚も多少和らぎます。
2▶息を吐くと副交感神経が活性化する
「はぁ~」っと息を吐くと副交感神経が活性化するので、リラックス効果が生まれます。それにより辛さが軽減され、冷たいという感覚も多少は和らぎます(ただし、呼吸と水風呂を比較した場合、水風呂のほうが圧倒的に体に与える影響は大きいです。そのため、水風呂につかっているときは交感神経のほうが基本的には優位になります。あくまでも「少しでもラクになるための方法」だと思ってください)。
3▶ポジティブな感情は心臓血管系の反応を早める
ポジティブな感情を抱くと心臓血管系の反応が早くなることが報告されています(*11)。サウナ室で心拍数が上がり、さらに水風呂でも心臓に負担がかかりますが、ポジティブな感情を抱けば体の反応がスピーディになり、負担が軽減します。
ということで私のおすすめは、息を吐きながら「気持ちいい~」と言って入ること。
実際、それまで歯を食いしばって水風呂に入っていた本書の担当編集者は、この方法を試すことで水風呂が大好きになり、いつでも心地よくととのえるようになったそうです。ちょっと恥ずかしいかもしれませんが、ぜひ試してみてください。
*本記事は、「医者が教える 究極にととのうサウナ大全」から抜粋・編集したものです。