興味が薄くなりがちな現代史
視聴者の理解をアシストしたのは?

「さすがに詰め込みすぎなのでは?」「まだ残っている複数のテーマを来週ですべて回収できるのか……?」とハラハラする部分もあるが、ドラマの背景への理解をアシストしているのが、さまざまな関連記事である。

 たとえば、寅子の出身校である明立大学のモデルである明治大学は、毎週「今週の解説」(https://meijinow.jp/article/toratubasa)を更新。「虎に翼」で法律考証を担当している法学部の村上一博教授が、ドラマで描かれた時代背景や、それぞれの裁判がその後にどう影響を及ぼしたのかなどを解説している。

 第24週の解説では、学生運動で起訴された学生たちが法廷で暴言を吐いたり、歌を歌ったりするエピソードが登場した点について、「個人的には、前代未聞の大荒れの法廷シーンは、もう少し時間を割いてほしかったなと思っています」と書かれている。

 偶然ながら、筆者もこのテーマについてはもう少し掘り下げてほしかったと感じた。しかし、視聴者によって「ここをもっと見たかった」と思う部分はそれぞれであろうから仕方ない。そしておそらく、歴史の授業で薄くなりがちな現代史についていくつもの事件・事象を扱うことで、見た人の知識欲や好奇心をそそることが目指されているようにも感じる。視聴後にそれぞれが知りたいと思うテーマをそれぞれで調べる、そのきっかけとなるような作りである。

 この他にも、朝日新聞など複数の媒体で脚本を担当する吉田恵里香さんへのインタビューが掲載されたり、毎日新聞が『私たちの「虎」語り』という連載を組んだりと、「虎に翼」をもっと深く味わいたい視聴者たちの熱に呼応するような記事が多々掲載された。

 ここで個人的な感想を少し書かせてもらえるのであれば、寅子が新潟の家庭裁判所に赴任するあたりの展開は、見ていて少し辛かった。赴任する前、寅子は一人娘の優未との間に距離が生まれ、同居する兄嫁の花江たちともぎくしゃくする。

 このあたりで、とにかく寅子が「ごめんなさい」と頭を下げまくるのである。