それ以前の2016年には、16階建てビルが倒れ100人以上が死亡した、M6.6の台湾南部地震が発生。1999年9月には台中市ではM7.7の大地震が発生し、5000棟以上の建物が倒壊し死者2413人、負傷者が1万人を超えた。内陸の活断層が動いた結果、大規模な土砂災害、橋の損壊、ダムの決壊などの被害が出た。今回の地震は過去25年でも最大規模である。
地学的に台湾は地球表面を十数枚で構成するプレートの境界付近に位置し、活発な地震活動で知られる。台湾の南の海域では中国大陸側にあるユーラシアプレートが太平洋側にあるフィリピン海プレートに沈み込む(下図)。
一方、東の海域ではフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込んで琉球海溝を形成しており、その間にある台湾ではプレートの衝突によって山が隆起し地震が頻発する。ちなみに、南海トラフ巨大地震が懸念されている西日本では、琉球海溝と同じくフィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込む配置にある。
近年、頻発している台湾の地震は、2つのプレートの前縁部に働いている圧縮力に起因する。この領域の地表には逆断層が数多く発達しているが、今回の地震のメカニズムも北西-南東方向に圧力がかかることで生じる「逆断層型」だった(下図)。