快適な居住環境を維持するには適正な時期に修繕するマンションの長寿命化が欠かせないが、長期修繕計画を定めて修繕積立金を積み立てているマンションのうち、「不足していない」との回答は33.8%にとどまる。一定の条件を置いた国交省の試算によれば、「必要となる修繕積立金」の世帯あたりの平均月額は、2021年度は2万1420円だ。2011年度の1万4210円と比べて5割ほど上昇している。

 積立金が不足する要因としては、建設作業員の不足や資材の高騰に伴って想定以上にコストが上昇していることもあるが、十分な額を積み立てていないケースも目立つ。

 マンション購入にあたっては住宅ローンの返済に加えて修繕積立金などを支払う人が大半であり、毎月の負担額は多額になりがちだ。毎月の支払額が大きくなると購入自体を諦める人も出てくる。こうした事態を避けようと、マンションの販売会社は修繕積立金を低く設定して買わせやすくする傾向がある。

 こうしたマンションの場合、一般的には管理組合で居住者同士の話し合いが進められるが、購入時点で負担感が大きかった人たちの懐具合が変わるわけではないので修繕積立金を値上げするにしても簡単には行かない。