マンションの空き家は、一戸建てと比べて近隣住民に影響を及ぼしやすい。高齢者が孤独死し、相続した所有者が不明となるケースは少なくないが、積立金などを実質的に徴収できなくなると、住み続けている人にさらなる負担増という「しわ寄せ」が行く。

 しかも、空き家率が20%になると管理組合の日常的な対応が困難になるとの試算がある。役員を引き受けない理由のトップは「高齢のため」(36%)であり、高齢居住者が多いマンションでは管理組合の運営そのものが難しくなってきている。

 こうして管理費や修繕積立金の支払いが滞ることになれば資金計画に大きな狂いが生じる。予定通りのメンテナンスができなくなれば、資産価値も下がる。

 設備の維持管理に支障をきたすとマンションの劣化は想定以上に進む。外壁の剥離などによって思わぬ事故やトラブルが発生することも懸念される。このような状態になった物件では引っ越す人も増えるだろう。さらなる空き家の増加を招き、自力での再生が困難になる負のスパイラルへと陥っていく。