解決したい組織課題と共に主張する

 外部研修を受けさせてもらえないことにもどかしさを感じているなら、まずは「外部研修を受けたい!」と主張しよう。
 その際、研修を受ける目的や、自助努力や社内研修ではダメな理由を決裁者に説明する必要がある。

 たとえばあなたがDX担当に任命され、単にデジタルツールを導入しただけではうまくいかないことがわかった。自社の中で考えていても進め方はおろか、必要な知識や技術も身につかない。よって社外の専門家による研修を受けたい。他社のDX担当者と意見交換する場に参加したい。このように、解決したい組織課題や業務課題を明確に示し、外部研修受講が有効であることを筋道立てて主張しよう。

 とはいえ「自己研鑽でなんとかしろ」と言われては元も子もない。まずは自助努力を示そう。
 
ネットで調べたり書籍を読んだりなどして、それでも足りないものを会社に求める。

「DXに求められるデータマネジメントを体系的に学ぶには自助努力では限界があるので、外部研修を受講させてください」

 このように主張してみよう。

「一緒に受けたい」と言い、成果を共有する

 できればマネージャーや他のチームメンバー、あるいは関連部署の人たちなどと一緒に受講できるよう働きかけたい。

 皆で同じ景色を見てレベルアップできる。外部研修の有効性も組織として実感しやすい。あなたが学んだことや感動を周りの人たちに伝達するコミュニケーションコストも下がる。「あなた一人だけが学びたいから会社が特別に許可する」といった不公平感を増幅させるような構造も作らずに済む。

 そして外部研修を受けたら、学びや成果、変化を組織に必ず共有しよう。わざわざ報告書を書かなくても、社内SNSや社内ブログで発信する程度でもよい(そのほうが読まれやすい)。または仕事の成果で周りに見せるのもよい。そこから、外部研修に対する前向きな理解と共感が生まれてくる。

 筆者は企業勤務時代、一般社員の頃からさまざまな外部研修を受けさせてもらった。職位や仕事のテーマに応じて会社から課されるものもあれば、自分の希望で受講したものもあった。その多くは自分の仕事やマネジメントの基礎力を培わせてくれ、今でも大変感謝している。外部研修は管理職や社員の能力開発のみならず、エンゲージメントも高めるのだ。 

一歩踏みだす!

 ・解決したい組織課題とセットで「外部研修を受けたい!」と主張する
 ・皆で受講し、学び・成果・変化を積極的に組織に共有する

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。