春風亭小朝師匠の名演が光る一席でした。今風にアレンジもできますので、お菊さんが「時の人」になっていくあたり、今で言うならば「人気ユーチューバー」的存在として扱われるのでしょうか。
このネタに限らず、落語はすごいなあと思うのが、本来恐怖感をもたらすはずの怪談チックな展開をも笑いにしてしまう距離感であります。

 たとえば『野ざらし』という噺は、かつて一世を風靡した若き談志のリズムとメロディが横溢するネタで「女性の骸骨に酒をかけてあげて成仏させる」というストーリーですが、もとは怪談のような怖い一席だったそうです。

「死」という忌むべきものに対して、恐怖感ではなく「笑い」をもってくるセンスは、生きている人間賛歌としての落語の真骨頂ではないかと察しています。

 さて、この落語のテーマは、「休むことで見えてくる世界もあるよ」ではないでしょうか。

 落合博満氏は、監督時代にスランプで悩む選手に、まず「眠れているか?」と問いかけたそうです。「よく眠れていません」と答えると「まずは寝ろ、そこからだ」というアドバイスをしたと、ある本で読みました。