刻々と変化する表情
顔は膨大なデータを携えている

 そして四つめは、「コミュニケーション手段としての顔」です。

 繰り返しになりますが、顔というのは生まれ持った造作だけでなく、その人の性格や感情が織りなす「表情」を伴い、かつそれは刻々と変化するので、非常に膨大なデータを携えています。逆に言えば、顔を突き合わせていないコミュニケーションというのは、浅いものになりがちです。

 つい先日、ラジオに電話出演する機会がありました。ほんの10分程度の出番でしたが、スタジオで直接顔を合わせて話す場合に比べて、言葉を発するタイミングが取りにくく、やりにくい印象を持ちました。相手の表情が見えないため、私の話がどの程度伝わっているのか確認できないので不安さえ覚えました。

 つまりコミュニケーションとは言葉だけをツールとするものではなく、相手の顔や表情、物腰、口調、身ぶり手ぶりなど、その人物の所作を包括して行うものなのです。メールやSNSでは、電話に比べてもさらに情報量は少なくなります。

 見方を変えれば、顔(表情)によるコミュニケーションが不十分な場合、どれだけ言葉を尽くしても自分の真意や感情を100%伝えることは難しいでしょう。採用において、第一印象は重要ですが、面接内で互いにコミュニケートする中で、相手に対する印象が変化することは少なくありません。そのため最終の決断には、一定時間の面接は必須なのです。