近年、第三者管理方式を採用する管理組合は増えてきている。国土交通省がマンション管理業者を対象に、令和5年12月に実施した「第三者管理方式に関する実態調査」においても、「第三者管理方式を導入している」と回答した管理業者は約3割に上っている。

 では実際に、深刻化する役員のなり手不足の問題を解消し、区分所有者の管理業務の負担を減らす方法として、第三者管理方式は有効な手立てとなるのだろうか。その答えは「イエス」といっていいだろう。この管理方式を採用することで考えられるメリットはいくつもあげることができる。

 だが、手放しで歓迎できる管理方式なのかといえば、決してそうではないという点は知っておく必要がある。

第三者管理方式が注目されるようになった理由とは?

 マンションの管理方式には、大きく分けると「自主管理方式」「委託管理方式」「第三者管理方式」の3種類がある。

 自主管理方式は、管理会社を入れずに、管理組合(区分所有者全員)でマンションを管理する方法を指す。たとえば、管理組合の理事が管理費や修繕積立金の出納業務を行ったり、区分所有者たちが分担して日常的な清掃を実施したりする。そして、エレベーターの保守や消防点検など、自分たちではできないような業務の一部を専門の業者に委託するというスタイルだ。

 委託管理方式は、マンションの管理業務を管理会社へ委託する方法で、現在ではもっとも一般的な管理方式といえる。管理費や修繕積立金の出納業務を始め、管理員業務、日常清掃業務、定期清掃業務、エレベーター保守、消防点検など、マンション管理にかかわる業務の大半を、管理委託費を支払って管理会社に委託するスタイルである。

 そして、第三者管理方式はその言葉通り、マンション管理士などの外部専門家や専門業者といった「第三者」に管理を委託する方法を指す。

 国土交通省が作成したマンション標準管理規約には、第34条に「専門的知識を有する者の活用」として、「管理組合は、マンション管理士(適正化法第2条第五号の「マンション管理士」をいう。)その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる」という規定がある。

 管理組合が「専門的知識を有する者=第三者」を活用することで、マンション管理の適正化がいっそう進むことを期待した規定といっていいだろう。

 第三者管理方式は最近登場した管理方式というわけではなく、1990年代初頭より注目されるようになったもので、主にリゾートマンションや投資用マンションにおいて普及していた方法だ。

 2000年代に入り、役員のなり手不足や管理組合が十分に機能していないといったマンション管理の課題に対応するため、第三者管理方式を含む、専門家を活用した管理組合の運営の在り方を検討する動きが活発になっていった。

 マンション標準管理規約では、それまで理事と監事はマンションに居住している区分所有者(組合員)に限定されていたが、2011年の改正でその対象条件が外され、マンションに居住していない区分所有者も理事や監事に就任することが可能になった。また、2016年の改正においては、マンション管理に関する外部専門家の活用や留意事項が明記され、第三者管理方式に関する規定が加わった。そうした流れを受けて、第三者管理方式が注目を集めるようになったのである。