「マンションの管理者」となった管理会社に、組合が“食い物”にされる?
ここまで見てきた限りでは、第三者管理方式は区分所有者と管理組合にとっていいことずくめの存在のように見えるかもしれない。しかし、前述したように、手放しで受け入れてしまうことには大きな不安が残る。
最も警戒しなければならないのが、「利益相反行為の危険性」である。
日本では、区分所有法で「マンションの管理者」を置くことが決められており、理事長(理事会)が管理者になることが一般的だ。
管理組合は管理費や修繕積立金などの財産を持っているが、委託管理方式の場合、それらの財産について、管理組合の預金口座の印鑑を管理者(=理事長)が、通帳を管理会社がそれぞれ保有するという、「分別管理」の方法をとっている。自主管理方式の場合は、通帳は会計担当理事が保有することになる。
第三者管理方式を採用し、外部専門家(=第三者)が管理者(=理事長)に就任する場合には、預金口座の印鑑は第三者が保有することになる。
問題になるのは、管理会社が管理者(=理事長)となる場合だ。管理を委託する管理組合の管理者と、管理を受託する管理会社が同じ、つまり業務の発注者と受注者が同一の会社になるわけだ。そして、現在第三者管理方式を採用しているマンションでは、その大半を管理会社が受注し、発注者(管理者)=受注者(サービス提供者)という構図が珍しくないのである。