現在ではどちらも丸見えだが、それまでは何らかの「見られては困るもの」が写っていたのだろうか。

 これに対して北朝鮮国内は以前からかなりの解像度で閲覧できた。『日本鉄道旅行地図帳 朝鮮台湾』の仕事で戦前の朝鮮半島の鉄道路線を調べていた私には大助かりである。社会主義国では地図や航空写真について規制の厳しい国が多いが、この国ではグーグルも営業活動をしないだろうから、自由に衛星画像を貼り付けたのだろう。

 各地をよく見れば、指導者の命令によって山の頂上まで耕地にした後、洪水ですべてが泥に埋まった生々しい光景や、旧式のミグ戦闘機がおそらく燃料もなく放置されているのが手に取るようにわかる。こんな画像はひと昔前ならアメリカの国防総省関係者ぐらいしか見られなかっただろうに、今や日本の小学生がスマホで閲覧できるようになった。

ストリートビューの撮影年を選べる理由
ヒントは東日本大震災の被災地の声

 グーグルマップの航空写真モードを最も拡大すると、視点が上空から地上に降りて「ストリートビュー」が始まるが、これが登場した時は本当に驚いたものである。行ったこともない世界中の通りを、歩行者の視点で自室に居ながらにして眺められるのだから。そもそもこんな大それたプロジェクトを考え出す発想は尋常でない。