紅葉のトンネル「今熊野観音寺」と窓越しの「雲龍院」
ここからは、京阪電車で南へ下りていきましょう。まずは「祇園四条」駅から三つ目の「東福寺」駅へ。東福寺の最寄り駅ですが、駅東側の坂を上がっていくと、20分弱で天皇家の墓所があり「御寺(みてら)」と呼ばれる泉涌寺にたどり着きます。その参道の途中、案内板に従って道をそれた先には、西国三十三所巡礼第十五番札所の今熊野観音寺があります。
今熊野観音寺は、平安初期に弘法大師空海がこの地に建てた庵が起源の古刹(こさつ)で、空海自ら彫り上げたと伝わる十一面観音像がご本尊(秘仏)です。参道途中の紅葉のトンネル、本堂周辺の色づいた紅葉が見物となります。例年、人であふれかえることもなく、比較的ゆったりと紅葉観賞ができるのでおすすめです。
頭痛持ちで長年苦しんだ後白河法皇が今熊野観音寺の観音様に祈ったところ、頭痛が癒えたという逸話から、頭痛封じのご利益で親しまれるようになりました。頭痛や物忘れで困っている方は、頭痛封じやぼけ封じ、健康長寿の祈祷(きとう)が込められた「枕カバー」を授かるといいでしょう。
再び泉涌寺の参道へ戻り、泉涌寺の山門はくぐらずにさらに奥へ進むと、泉涌寺の別院である雲龍院です。丸い「悟りの窓」、四角い「迷いの窓」、正方形の窓が四つ連なる「しきしの窓」を通して、端正な杉苔の庭に寄り添う紅葉を眺めるという、風流なひとときをこちらではじっくりと楽しむことができます。