なお、JR東日本はオフピーク定期券に先がけて2021年3月、通勤定期券でピーク時間帯の前後1時間に入場するとポイントが還元される「オフピークポイントサービス」を導入した。

 オフピーク定期券のトライアルとして1年限定のキャンペーンだったが、延長をくり返し、2024年現在も実施している。

収入の37%でしかない定期利用者が
輸送量の61%を占めている

 JR東日本の輸送量(人キロ)に占める通勤・通学定期券の割合は、コロナ前の2018年度は65%、2023年度はやや下がって61%だが、いまだに利用の半分以上は定期である。収入に占める割合は、2023年度で37%。かつてほどではないが輸送量と収入の格差は大きい。

 一般的に定期利用比率が大きいほど、通勤・通学ラッシュ時間帯の利用が多いことを意味する。定期利用者はボリュームとして大きく、1カ月単位で前払いしてくれる優良顧客であることは間違いないのだが、経営の効率という観点から見ると手放しでは喜べないのが実情だ。

 というのも、当たり前の話ではあるが、鉄道施設や車両は運行本数が最多となる朝ラッシュにあわせて準備しなければならない。

 たとえば、朝ラッシュピークは2分間隔(毎時30本)、日中は5分間隔(毎時12本)で運行する路線では、半分以上の車両はラッシュ時間帯しか出番がなく、朝が過ぎれば車庫を陣取ってお昼寝だ。