「中国地方の背骨」である路線が
なぜ大赤字に陥っているのか?
営業係数ワースト1位は、JR芸備線の東城駅~備後落合駅間だった。営業係数は「11766」で、100円の運賃収入を得るために、1万1766円の費用をかけている状況だ。
JR芸備線は広島県と岡山県にまたがり159.1kmを走破する路線だ。ワースト5には芸備線・備後庄原駅~備中神代駅間の68.5kmが3区間に分かれて入り、備後落合駅で芸備線に接続する木次線が3位に、新見駅で乗り継げる姫新線も2位にランクインした。
この一帯は、山陽(瀬戸内海側)、山陰(日本海側)に挟まれ、「中国山地の背骨」とも呼ばれる細長いエリアである。鉄道経営が軒並み悪化している主な理由は、沿線の過疎化と、クルマ社会化による鉄道利用者の減少だ。人口が少ない山岳部では乗客は少なく、維持費用が極端にかかる状態にあり、抜本的な収支改善は難しい。
しかし、それ以外にも理由はある。芸備線は各駅からバイパス立地の商業施設や宅地が極端に離れており、駅からバスやタクシーでの移動を要する。かつ、学校や病院からも距離があり、輸送機関としての利便性が根本的に良くない。
さらに、中国山地の背骨エリアは、すでに高速道路(中国自動車道)が貫通しているため、広島市からの移動はクルマや高速バスの方が速い。都市間移動と生活移動、どちらにも利用されなくなっており、営業成績が極端に低迷している。