仕事をしていて「この仕事、向いてないなあ」と思ったことはないだろうか。本来は、自分の好きなこと、努力しなくてもできることを仕事にするのが一番いいと言われている。しかし、意外とそれを知るための自己分析をするのが難しいものだ。「2ちゃんねる」と「ニコニコ動画」の開設者であり、実業家のひろゆき氏は「向いていないことを必死に努力しても報われないが、自己分析が苦手な人が多い」と語る。自分に何が向いているか、どのように考えればいいのだろうか。著書である『1%の努力』の内容から、ひろゆき流自己分析を紹介する。(文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)
合わない仕事をしないための自己分析
「自己分析」という言葉には、時折直面する。
就職するとき。自分が何を成し遂げたいか考えるとき。仕事について、向き不向きを確認するとき。注力すべきことを決めるとき。転職を考えたとき……。
しかし、自己分析を苦手としている人も多いのではないだろうか。
なぜなら、自分のことはよくわからないことが多いからだ。
筆者も自己分析は非常に苦手である。考えてもうまく言葉にできないため、ぐるぐる考えてしまってだんだん面倒になり、結局中途半端なまま放置する羽目になる。
しかし、自己分析ができないまま、仕事を選ぶと悲惨だ。向いていない仕事を延々する羽目になり、心を病んでしまうケースもあるだろう。
そのため、自分の適性を知るには自己分析は必要なことなのだ。
ひろゆき流自己分析のヒント
筆者のように、自己分析が苦手な人のために、ひろゆき氏は、「仕事をする人は、次の3タイプに分かれる」と教えてくれる。
② 1を10にする人
③ 10を維持しながら、11、12……にしていく人(P.221)
「①」は俗に言う「ゼロイチタイプ」の人だ。
彼らについて、ひろゆき氏は「自分のアイデアを愛し、まわりを巻き込みながら没頭することができる人である」と解説する。
このタイプの注意点は、アイデアに対する自信がありすぎるため、ときに武器に、ときに足かせになるところにあるという。
「②」は、ゼロイチタイプから出来上がってきたものを、改善して大きくしていく立場の人だ。このタイプの人はコネや経験を持っていることや、人付き合いがものをいうそうだ。
「③」は、成長が止まった後、それを維持する人。大企業で就職して忍耐強く働くようなタイプだ。
ひろゆき氏は「③」のタイプについて、次のように説明する。
確かに、組織が大きくなればなるほど、いわゆる「社内政治」のような動きが必要になる。
関わる人たちの顔を立てつつ、物事を遂行するための下準備や調整を細やかにしていかなければならない。これは大変なことである。
あなたはどのタイプに当てはまるだろうか?
「ゼロイチタイプ」ではない人向け、仕事を楽しむ技術
現代においては、「①」のタイプがもてはやされているが、世の中、「①」のタイプばかりでは仕事は回らない。
一方で、ひろゆき氏は「『③』のタイプは『つまらない』と感じる人も多いかもしれない」と指摘する。
そんな人におすすめの方法として、ひろゆき氏が勧めるのは「試行錯誤を入れてみる」ことだ。
「今日は、お客さんの名前を聞くようにしてみよう」
「『ありがとうございました』だけは目を見て伝えるようにしよう」
そうやって何か1つでもテーマを決めて、実際にやってみる。
そして、終わった後に、感触を確かめるのだ。
名前を聞いたときのほうがたくさん注文が取れるかもしれないし、目を見てしまうと押し付けがましい雰囲気が出てしまうかもしれない。物は試しだ。
シミュレーションするときのポイントは、論理的な反省ができるかどうか。そうすることで、退屈な仕事もゲームに変わる。(P.224-225)
仕事にゲーム性を持たせることで、成果も出る。もし、今の仕事に退屈さを感じている人がいたら、試してみるといいだろう。
「夏休みの宿題」への取り組み方から見る才能タイプ
本書でひろゆき氏は、自己分析のための方法をもう一つ挙げている。
それは、小学校時代の「夏休みの宿題」への取り組み方だ。それによって才能のタイプが見分けられるという。
② 自由工作や絵などに時間をかけて取り組むタイプ
③ 最終日が迫ってきて慌ててなんとか間に合わせるタイプ(P.231)
「①」は、一見すると凡人のように見えるが、計画性があるのは素晴らしい才能のひとつ、とひろゆき氏は褒める。
「勉強に向いているので、知識を貯めていく方向で頑張るといい」と勧める。
その際、「知識だけだと頭でっかちのように聞こえるが、経験と結びつけば、あなた特有のオリジナルな考えになる」と教えてくれる。
「②」は、時間をかけても仕方ないようなことに、時間をかけてしまうタイプと指摘する。
こうしたタイプは、「社会ですぐには認められないようなことに、ぜひ取り組んでほしい」と語る。
最後に「③」は、突発的なことに対処する能力があり、「やばい、やばい」と言いつつも、心のどこかで祭りのように楽しんでしまえる才能がある人だ。そして、ひろゆき氏自身もこのタイプに当たるという。
こうした人は、「リスクマネジメントや、対人による交渉ごとに向いている」そうだ。
自分のタイプを見極めて割り切ることも必要
自分のタイプを大人になって変えようとするのは、なかなか大変なことだ。
だからこそ、自分がどのタイプかを見極めて、本当に苦手なこと、合わないことは「割り切って『これはやらない』と生き方を決めてしまうのも、戦略として正しい」とひろゆき氏は語る。
合わない仕事をするのは、本人にとって非常に苦痛なこと。今回の記事をもとに、一度自分がどのタイプかを確認してみてはいかがだろうか。
もしかしたら、もっと自分に合う仕事を見つけるきっかけになるかもしれない。