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 誰かが「転職する」といったら大騒ぎで、「ケツを割るのか!」と詰められたものです。就職してから定年まで一つの会社で働くのが当たり前で、会社と共に豊かになるのが正しい生き方であり、そのレールを外れた人は絶対に戻れませんでした。

 だんだん制約がゆるくなっていきましたが、2000年代に入ってからも、まだまだうっすらとしたレールは残っていました。一流大学を卒業して一流企業に就職し、東京23区内にマンションを買って子どもを塾に通わせて賢く育てる、といった画一的な成功モデルが支配的地位を占めていました。

 しかし、現在のZ世代にそのような感覚は薄いようです。

 VUCAの時代に入り、社会やビジネス環境が複雑化し、次に何が起こるか予測が難しくなって、資本主義社会のなかで生き抜くうえで総合的な力が求められるようになってきました。言い換えると、複雑化したビジネス環境で何らかの価値を自律的に「生み出す力」を持つ人材が重宝されるようになっているのです。

 したがって、キャリア形成や仕事への取り組み方は、価値を「生み出す力」を獲得できる方向に向かっていればすべてOKです。

「生み出す力」といっても、クリエイティブである必要はなく、生み出すものは売り上げでもいいし、仕組みでもいい。だたし、それを自分がキャリアを築いていく領域で30歳から35歳くらいまでに確立できていれば、その人のキャリアはいかようにも描くことができるでしょうなります。

 だから昔とは逆です。試行錯誤してチャレンジすることは評価されるようになり、キャリアの空白はあまり気にされません。昔なら「レールから外れた人」と扱われるところが、現在は「面白そうなヤツが来た」と人事は考えるでしょう。