連載「中学受験の新常識 安田 理」をフォローすると最新記事がメールで届くので、読み逃しがなくなります。

 この大胆な人事で、グローバル化の時代にふさわしい教育内容に変えていこうという狙いがあるのだと思われます。

ーー西武文理は国公立大学や医学部に多数の生徒を送り出している進学校のイメージです。

 今までは大学入試を一般選抜※で突破するためのカリキュラムだったのですが、課外活動を重視する総合型選抜※に舵を切ったように見えます。校長は昨年、就任されたばかり。今後の展開が注目されます。

(※一般選抜=各大学で課せられる入学に必要な基礎学力を測るための試験。いわゆる従来型の入試を指す。)
(※総合型選抜=AO入試(アドミッション・オフィス入試)の新名称。受験生の学ぶ力を総合的に評価・判断する選抜方法。志望理由書や面接・小論文などで選抜する)

ーー校長先生でいえばスタープレーヤーみたいな方がシンボリックに活躍されるケースがありますね。

 そういう意味では千代田区立麹町中学※と横浜創英の元校長である工藤勇一さん※が有名ですね。

(※千代田区立麹町中学=工藤氏の生徒の自主性を重視した大胆な改革は2023年度に就任した堀越勉校長により方針転換。PTAで問題となり、国会で取り上げられ、賛否両論を巻き起こしている)
(※工藤勇一氏=2014年~2019年に千代田区立麹町中学の校長として「宿題廃止・定期テスト廃止・固定担任制廃止」などの教育改革を行なったことで有名。2020年に横浜創英中学・高校の校長に就任。今年3月に退任。)

 校長のパワーがあるのは良いことです。ただ一般論ではありますが、それが強すぎると反対に学校に根付いているDNA自体が弱まってしまいます。

 教員が理念、方針を共有したワンチームでないと学校はしっかりと根を張り伸びていくことはできません。誰がトップに就こうが、このDNAが脈々と引き継がれていくような学校が本来の私学の在り方だと思います。

ーーどの学校であっても、学校改革が完全に軌道に乗るのは10年近くの歳月がかかると聞いたことがあります。突然「本校は今日から校則なし、制服なしにします!」と宣言したとしても、難しい面はありますよね。