銀行リテール 最後の決戦#2Photo:Bloomberg/gettyimages

メガバンク3行の個人向けリテールサービスの現状を比較すると、「Olive」(オリーブ)を立ち上げた三井住友フィナンシャルグループが頭一つ抜け出ている。背景を探ると、合併・統合が次々に起こった約20年前に下された、ある決断が大きく影響していた。特集『銀行リテール 最後の決戦』(全6回)の#2では、メガバンク3行に差が出た要因を探った。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

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オリーブで先行する三井住友FG
その背景には何があるのか

 メガバンク3行は同質化しているから、どこで口座を持ってもサービスは変わらない――。多くの人がそう思っているかもしれないが、メガ3行の個人向け金融サービスには近年、明らかな差が生まれている。

 先行するのは三井住友フィナンシャルグループ(FG)。今年3月から始めた「Olive」(オリーブ)は、三井住友銀行の口座やクレジットカードなどの情報を一元的に管理するだけでなく、提携先のSBI証券や住友生命保険などのサービスも利用できる。今後、金融関連のサービスを中心に、非金融サービスも含めた“経済圏”をさらに拡大し、個人の金融ニーズを吸収していく考えだ(本特集#1『三井住友FG「オリーブ」の野望と死角、新個人向け金融サービスの命運を握る“最後のピース”とは?』参照)。

 一方の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とみずほフィナンシャルグループは、同じく経済圏を構築していく考えを持ってはいるものの、具体的なサービスはまだこれからという段階。特にみずほFGの遅れが目立つ。

 なぜこれほどの差が出たのか。要因を探っていくと、20年前のある決断にたどり着く。それは一体何なのか。次ページで解説するとともに、巻き返しを図るMUFGとみずほFGの戦略を明らかにしていく。