長いラリーにはならないでしょう。2024年内に状況が変わると予想します。こういうラリーはずっと続くことはありません。
――あなたは以前から「早晩、金融危機が来るだろう」と発言していましたね。トランプ政権下でも、その考えは変わりませんか?
私は常に歴史を重視します。歴史を振り返れば、金融危機は数年ごとに必ず発生してきました。それは、誰が政権を取っても同じこと。かなり近いうちに、危機が来ると予想します。
最後に危機があったのは2008年。もうだいぶ時間が空いていますよね。こんなにも金融危機がないのは、アメリカの歴史上、最長期間でしょう。したがって、危機は早ければ今後数週間のうちに、遅くても数カ月以内に発生するのではないかと予想します。
――トランプは20~60%もの高関税を課すと言っています。世界経済に対するインパクトをどう考えますか?
関税というものは、関税を課す国にも、課された国にも、プラスになることはありません。歴史を見れば明白です。特に、仮に中国からの輸入品に対して60%もの関税を課すと、最終的にはアメリカの消費者が負担を強いられることにつながります。物価が上がり、インフレが進むのです。
トランプは良くも悪くも有言実行の男なので、自分が思う関税政策を推し進めることは間違いありません。彼は自分の支持者たちには特別に親切にしなければならないと考えています。彼らのために物価を下げる必要があると。
でも、関税アップは最終的に消費者の負担が増えることになるので、逆効果です。足元ではアメリカのインフレが落ち着いてきている状況なのに、高関税を課せば、逆効果になることをトランプは理解していないのでしょう。
関税の引き上げによるインフレが再燃するリスクを踏まえて、米FRBの利下げのペースが緩やかになるという観測や、大規模な財政出動によって財政が悪化する懸念が広がっています。この点もトランプはきちんと理解していないフシがあります。トランプは理屈ではなく、直感で動く人間なのです。