あなたにとってのライバルとは
もしあなたが、「ヒーロー」としてのライバルに近いイメージを持っているならば、これからお読みいただく内容は、納得感のあるものになるだろう。そしてすぐにでも、現在のライバル、あるいはかつてライバルだった人に連絡したくなるかもしれない。
反対に、「敵」としてのライバルで掲げたように、もしあなたが「ライバル」に対してネガティブなイメージを持っているなら、これからお読みいただく内容は、とても意外なものになるだろう。
なぜなら、本研究における多面的な分析の結果、ライバルを持つことは、文字通り人生を豊かにする多くの要素に溢れていることが明らかになってきたからだ。
詳細は後ほど伝えるが、多くの学術的な先行研究、1000人を超えるアンケート調査、31人へのインタビュー調査をもって、その事実が客観的・多面的に明らかになった。
ライバルを持つことで得られる正の効果
もったいぶらず、結論を示そう。
ライバルの存在は、あなたに次のような効果をもたらす可能性を秘めている。
・自分が将来こうなりたいというビジョンを与えてくれる
・もっと優れた人間になりたいと思わせてくれる
・積極的な行動を心がけようという気持ちになる
・全く新しいことにチャレンジするようになる
・他者と協力し合いながら前へ進もうという気持ちが強まる
これらの効果は、いずれもライバルがいる(あるいは、かつていた)という人が、その効果として僕の研究に提供してくれたものだ。いずれも、僕たちが人として成長していくために欠かせないものばかりだ。
そしてもうひとつ、今回のライバル研究からわかってきたことがある。ライバルの存在は、あなたが持つ才能や可能性を引き出してくれるということだ。
言うまでもなく、人は誰もがなんらかの能力を秘めている。ライバルは、それを見つけに行く旅立ちのきっかけを与えてくれる。そうして見つけたものが、あなただけの宝物であることを気付かせてくれる。
あなたが主人公キャラかどうかは問題ではない。自分に自信があるかどうかも関係ない。ライバルは、その宝物を磨く大切さを教えてくれる。
ライバルこそが
あなたの人生の物語を動かす
家族ではなく、友だちでもなく、上司でも、先生でも、ましてや恋人でもない。「ライバル」こそが人の心を突き動かす瞬間がある。
あの人にだけは負けたくない。
絶対に負けられない。
心の底から湧き上がる、いてもたってもいられないような情動が、あなたを突き動かす。その一歩によって、あなたの人生の物語が動いていく。あなたの実力を引き出し、大きく成長させてくれる。
「ライバル」とは、あなたにとって人生最強の壁であると同時に、人生最高の味方にもなる、まさに唯一無二の存在なのだ。
(本稿は、書籍『ライバルはいるか?』のプロローグを一部抜粋・編集して作成した記事です)
書籍『ライバルはいるか?』では、社会人1200人に行った調査や、世界中の論文や研究からわかった「競争」の認識が変わる様々な事実が掲載されています。本書を読めば、「競争」を力に変えて、「充実した人生」を手に入れられるでしょう!
★仕事の満足度が高まる★
★挑戦する勇気をもらえる★
★人生の停滞感を打破できる★
研究者が1200人を調査して解明。
知れば人生が変わる
「競争」の真実!!
誰かと競うことは本当に「悪」なのか?
1200人を徹底調査してわかった「意外な真実」!!
★ベストセラー『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』の著者、渾身作!!
現代では「みんな仲良く」が正義とされ、「競争」は徹底的に排除された。しかし、本当に競争は「悪」でしかないのだろうか?
そこで1200人を対象に調査を行い、世界中の研究や論文を調べたところ、驚くべき真実が見えてきた。
「競争」から逃げて、実力を秘めたままでいるか。
「競争」の力を借りて、実力以上を発揮するか。
賢く選ぶために知っておきたい真実を、この本でお伝えしよう。
第1章 ライバルは敵か、味方か―1200人調査で判明した意外な事実
たくさんいる人たちの中で、どこか気になる存在/ライバルは相反する感情をもたらす/1200人のライバル実態調査の結果から/ライバルはどこに現れる?/「幸福度」に関する驚きの調査結果……など
第2章 現代からライバルが消えた理由―こうして日本社会は競争を葬った
「競争相手」のいない世界/競争は、いつから「悪」になったのか?/「みんな仲良く」という時代の副作用/「無菌状態化」する日本企業の職場環境/競争がなくなったことで失われた光景……など
第3章 ライバルの真のイメージ—それは本当にネガティブな存在なのか
負けることは、恥ずかしいことなのか?/1151人が抱くライバルのイメージ/ライバルがいない人ほど、ライバルを「恐れる」/ライバルがもたらす、大切な「ある感情」……など
第4章 ライバルがいるから頑張れる―意欲と満足度に与えるプラスの影響
入社3年目の「社内マップ」/ライバル観の4つのタイプ/なぜ若手にとって「目標型ライバル」は重要なのか?/統計に表れた「ライバルの有用性」……など
第5章 ライバルこそがあなたを成長させる―競争の果てに得る4つの成長実感
スーパー技術者たちの戦い/なぜ勝者も敗者も、同じ感情を抱くのか/ライバルの有無と成長実感の関係/あの人がいなかったらここまで来れなかった……など
第6章 恋のライバルと戦う—敗北は人生に何をもたらすのか
人が恋に落ちる瞬間/エスカレーターの一段に無限の宇宙を感じる/「恋のライバル」という残酷な存在/4人の恋の結末……など
第7章 ライバルの効能を科学する—世界の研究が明らかにした成功との相関
25秒もタイムが縮まったランナー/膨大な先行研究から導き出した2つの有用性/「比較された従業員」が辿る、正の道と負の道/ライバルのいる人といない人、どちらの年収が上か……など
第8章 ライバル意識のダークサイド―敵対心という心の闇との向き合い方
アメリカで出会ったイケメンの友だちと天才/勝たなければいけないという気持ちが行きつく先/「勝利至上主義」の是非とライバルに対する敵意/「足を引っ張る」ことに喜びを感じる日本人/どんな人が現れても、揺さぶられない自分でありたい……など
第9章 自分という最強のライバル—勝者であり続ける人が戦っているもの
ライバル研究「最大の疑問」/「若くして頂点を極めると成長が止まる」は本当か/藤井聡太がダークサイドと決別した瞬間/364日は「過去の自分」の勝ち/過去の自分に勝つ方法……など
第10章 ライバルと手を組むとき―最高のチームが誕生する瞬間
真に「競争から協調へ」が実るとき/「チームの一員としてふさわしいか」というプレッシャー/この世界は個人戦でできている/自分にしかできない何かを見つけるために……など