「自分の仕事に足りないことを全部言語化してくれる本」「会社員人生が180度、変わった!」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。
今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の中から、特別に本書のエッセンスを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

【無能がバレる】絶望的に仕事ができない人は「デメリット」ばかりを探す。じゃあ、優秀な人は?Photo: Adobe Stock

「デメリット」という魔物

 すべての物事は「賛否両論」です。
 つまり、デメリットがある。

 仕事ができる人、できない人は、その「デメリット」の扱い方で差がつきます。

 というのも、人は、デメリットを必要以上に重く感じてしまうからです。
 まるで魔物のように。

悪いことは「無限」に思いつく

 それは、「バイアス」が影響するからです。

「1万円を得る喜び」より「1万円を失う悲しさ」のほうが大きい
 それは脳の特性上、仕方のないことです。
 成功したことより、失敗したことを考え続けてしまいます。
 そして、仕事ができない人は、失敗を避けることばかりに目がいきます

 その事実は理論的に学んでおかないといけません。

「1万円を失うほうが嫌だ。しかし、考えてみると、どちらも同じ1万円だ」

 と、数値化することによって、感情ではなく理論で判断するということです。
 そうでないと、いつまで経っても、デメリットのことばかり考えて動けない状態に留まります

 そもそも、人は無限にデメリットを思いつくことができます。
 たとえば、出かけるときに移動手段を選んでみてください。

「電車は人身事故が起こるかもしれない」
「自転車はチェーンが外れるかもしれない」
「車は事故を起こすかもしれない」
「徒歩は道に迷うかもしれない」
……

 デメリットはいくらでも考えることができてしまいます。
「だから、ずっと家にいます」
 そんなわけにはいきませんよね

 かといって、デメリットをまったく考えないのは違います。
 本当に起こりそうなことは、ちゃんと直視する必要があります。
 その上で、そのリスクを引き受けるのです。

「車が事故を起こすかもしれないけど、その確率は低い。それに、もしものために保険にも入っている」

 ということを認識して、行動を起こすしかありません。
 そうして人は経験によってリスクに慣れていくのです。

 これが、仕事ができる人が取るべき態度です

日頃から考えるべきこと

 たまにしか乗らない飛行機のことを考えると、「墜落するかもしれない」という不安が襲ってくるものです。
 それは、経験が足りていないから起こります。

 また、不安に負けると、「誰か特定の人の意見にすがろう」という思考になってしまいます。
 まさに思考停止の状態です。
 だから、意思決定のスキルは早く身につけないといけないのです

 そんな不安がすぐに出てくる人は、日々の習慣によって変えることができます。
 世の中のニュースで、「賛否両論があること」に、目を向けてみてください。
 そして、自分の意見を出すクセをつけましょう。

「原発には賛成か、反対か?」
「死刑制度には賛成か、反対か?」
「夫婦別姓には賛成か、反対か?」
……

 これらに、自分なりの答えとして、「いったん答えを出す」ということ。
 両方のメリットとデメリットを知った上で、「自分はこっち」というものを決めておく。
 そのスタンスが大事です。

 そのときにさまざまな誘惑が生じるでしょう。

「〇〇さんが言っていることだけを信じる」
「まあ、なんとなくみんな言っているから」
……

 そうやって、考えることから逃げていないでしょうか。
 もう一歩踏み込んで、事実やデータを見て、いったんどちらかにする。

「デメリットとして、〇〇があるのはわかっている。
 ただ、メリットとして、〇〇がある。
 そちらのほうが自分にとっては大事だ。だから、私は賛成する」

 ということを考えるようにする。それが、仕事ができる人の特徴です
 意思決定のクセをつけるには、その積み重ねしかありません。

(本稿は、パーフェクトな意思決定の著者・安藤広大氏が特別に書き下ろしたものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。