「自分の仕事に足りないことを全部言語化してくれる本」「会社員人生が180度、変わった!」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。
今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の中から、特別に本書のエッセンスを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
「よく考える」の中身
「よく考える」という言葉があります。
これは、きちんと定義されないと、誤解を生み出しかねません。
その問題について述べましょう。
ためしに、次の2つの言葉を聞いて、それぞれどれくらいの時間を想像するでしょうか。
「すぐに決めてください」
「慎重に決めてください」
おそらく、人によって解釈はバラバラでしょう。
では、自分の子どもから、次のように言われたらどう感じますか。
「将来の進路について、1時間考えて決めたよ」
いかがでしょう。
早いほうですか。それとも遅いほうでしょうか。
「たった1時間? もっと考えたほうがいい」
と思ったことでしょう。
たしかに、「将来の進路」という大きな決断において、1時間という時間は物足りない気がします。
しかし、その子は、これまでにたくさんの情報に触れていることでしょう。
親や先生、友達から、さまざまな意見を聞いた。
さらに、インターネットや動画、記事によって、情報も仕入れている。
それらを総動員して、最終的に1時間、机に向かって、じっくり考えたのです。
そう思うと、「よく考えた」と感じないでしょうか。
「瞬発力」は、いらない
あなたの仕事でも、同じ状況があると思います。
ある期限までに決断しないといけない課題があるとしましょう。
そのために、必要な判断材料を並べ、ためしに「実際の1時間」を体感してみてください。
その間、スマホを触るのはダメ。
1つの物事に関して、1時間を費やしてみるのです。
60分、3600秒を体感する。
いかがでしょう。きっと長いはずです。
「よし、十分に、よく考えた」と感じることでしょう。
つまり、合理的に賢く考えたい人は、「時間的な余裕をつくる」ということです。
「本能的に結論を出してしまう」
「反射的に答えを与えてしまう」
そんな失敗を避けるためには、1時間ほどあれば十分です。
「すぐ決める」「即決」という表現は、もしかすると誤解を生むかもしれません。
まるで、現場の声を聞かずに、会議室でたった1秒で決めないといけない気がするかもしれません。
刑事ドラマで、時限爆弾を目の前にして、「赤か、青か。どっちを切ればいいですか?」というようなもの。
緊急事態に政府の会議において、「総理、自衛隊を出動させるかどうか、いますぐ決めてください!」と言われるようなもの。
医療ドラマで、「患者の心拍数が下がっています!どうしますか?」と言われるようなもの。
そのようなシーンを想像してしまいます。
ただ、仕事は、そんな緊急ではないことがほとんどです。
瞬発力は必要ないのです。
「断り文句」を考えているだけ
集まった情報と向き合い、1時間ほど考える。
いや、30分考える。もしくは10分考える。
それだけでも、じっくりと考えることができるでしょう。
それ以上の時間をかけてしまうのは、ただ「勇気」がないだけかもしれません。
あるいは、「いい断り文句」を考えているのでしょう。
だから、「検討します」と言いたくなる。
二流の人は、そんなことを繰り返すから仕事ができない人になるのです。
一方で、仕事ができる一流は、相手の時間のことを考えます。
さっさと断ったほうが、相手は次の行動が取れるのです。
いい返事を期待させておいて、精一杯、時間を引き延ばし、「やっぱりできません」と言われるほうが迷惑です。
自分に置き換えたら、わかることでしょう。
もし本当に時間が必要なのであれば、
「どんな情報が足りないのかを提示する」
「具体的な期限を提示する」
というアクションをとりましょう。
無闇に時間をかけて、「検討」という言葉に逃げることが「よく考える」ということではない。
そのことを押さえておきましょう。
(本稿は、『パーフェクトな意思決定』の著者・安藤広大氏が特別に書き下ろしたものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。