こうした傾向は、モア・マインドセットとドーパミンに促されているものであり、僕たちが積極的に対処策を講じていかなければならないものだ。
セイバリング(savoring/堪能・満喫する)を実践することによって、僕たちは成果マインドセットから意図的に離れ、野心を脇に置き、今、この瞬間を楽しめるようになる。
繰り返すが、努力してやっと手にした成果を楽しめないのなら、成果を積み重ねることに何の意味があるだろう?セイバリングを実践すれば(実際、これは科学であると同時に実践すべき対象である)、目標を追い求めることから離れ、今この瞬間の楽しい出来事に没頭できる。
セイバリングの対象を
すべて書き出してみる
別の見方をすれば、セイバリングは意図的に非効率な何かをすることだ。達成すべき目標を脇に置き、今を楽しむという考え方に意図的に切り替える(心配しないでほしい。だからといって目標が消えてなくなるわけではない。それは常に、セイバリングの反対側であなたを待っている)。
ここでお願いがある。自分にとってのセイバリングの対象となるものをすべて書き出してみてほしい。答えがあまり浮かばない人は、スマートフォンを手に入れる前や、うんざりするようなパンデミックの前に、どんなふうに静かなひと時を楽しんでいたかを思い出してみてほしい。それが難しいなら、1日の仕事を通じて満足感を味わっている瞬間について考えてみよう。リストを書き出し、目につきやすい場所に保管して、折に触れて読み返そう。
正直に言うと、心の平穏を求める旅を始めたとき、何かを堪能したり満喫したりすることは、面倒に感じられた。それでも僕は、セイバリングの対象となるものを挙げてみた。僕のリストには、以下のようなものが含まれていた(順不同)。
・エリザベス・ギルバート、スティーブン・キング、ビバリー・クリアリー、ニール・スティーブンソンの本
・家の近くにある森での散歩
・近所のカフェで売られている、少し値の張るマカダミアナッツ・ミルクラテ