ビジネスの完成度は70点?

 先に一瀬社長に怒られないように弁明すると、新規事業で開業当初のビジネスモデルが及第点になるのは辛口の評論家の立場では稀なことです。社長自身もご不安な部分はあると想像します。

 開店直後の賑わいが収まったあと、一転してお客さんがぽつりぽつりとしか来ない時期がひょっとすると長く続くかもしれません。

 そもそも非常識なメニューですから、来店してくれても満足してリピートしてくれるかどうか?いつ黒字化できるのか?そしてこれからカイゼン点がどれだけ出てくるのか?新規事業の船出は課題だらけです。

 ただ『すきはな』の最大の評価ポイントはひとくち食べれば美味しさがわかる点。いずれ後から口コミで評判はついてくるでしょう。

 同じクオリティの高級すき焼きと比較すれば低単価のうえに、約30分で一回転しますから、軌道にのれば黒字化は早いはず。とはいえ運営するペッパーフードサービスは上場企業ですから、スケール面で店舗数を拡大できるかどうかが問われます。

 これらビジネスの課題と評価についてはこの記事の後半でしっかりとお伝えします。

 さて、グルメのビジネス記事ですからまず先に、味の紹介からいたしましょう。

気になる味は?全セットを食べ比べ!

『すきはな』のお品書きは3種類。すべてすき焼きセットのコースで、牛肉のランクが3種類に分かれています。

 一番上のブランド和牛すき焼きセット(税込3850円)はその時々で銘柄を変えるそうですが、私が食べた晩は米沢牛でした。

「いきなりすき焼き!?」いきなりステーキ運営会社の新業態、老舗「木曽路」がマネできない巧妙戦略米沢牛 Photo by Takahiro Suzuki

 その次のランクが黒毛和牛すき焼きセット2530円で、一番お手頃なのが国産牛すき焼きセットの1980円です。

 どのコースも目の前で焼き手の従業員の方が肉を焼いてくれます。調理は関西風のやり方で、まずざらめ砂糖を鍋に敷いて、その上に上質の肉を置きます。