孫という存在をめぐって
マスコミの取材を受ける機会は多いが、たいてい聞かれるのは「最近どんな問題が増えてますか」である。もちろん母娘問題は2008年顕在化して以来、娘の立場から、そして時には母として、カウンセリングに来談する人は数多い。そして来談者の年齢が少しずつ高くなっている点も特徴である。
来談者の年齢を見ると40代は若いほうで、50代以上が過半数を占めている。
60~70代の母親が40代で同居中の息子の引きこもりで来談することは珍しくなく、時には前章で述べたような60代の娘が90歳を超える母のことで来談する例もある。
そして近年増えつつあるのが孫の問題である。孫をめぐる問題はいくつかに分かれる。
孫の不登校の問題で、娘が仕事で相談に来られないため、60代の祖母が来談する。嫁の育児態度に不安を抱き、孫が心配なので来談したという女性、40代の娘が離婚して子どもとともに実家に戻ってきたが、孫にひどい体罰を加えるのを見てカウンセリングにやってきた女性……といった具合である。彼女たちは、祖母の立場から孫の問題に困って来談しているのだが、そこには孫の親である娘や息子との関係が大きく影響している。
定価946円(朝日新聞出版)
もう一つは、母親と距離を取ることでなんとか自分の生活を確立して平和裡に暮らしていた娘が、子どもが誕生し成長することで、孫と祖母という関係が生じ、新たな混乱が生まれたことで来談する場合である。
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母娘問題の第一人者である信田さよ子さんによる力作、『母は不幸しか語らない』ではこの後、一人の女性の例を挙げて祖母・母・孫にまで連なる問題を掘り下げている。
※AERA dot.より転載