ベンは、この証言について詳細に検討することにしました。その結果、誰もが知っているような事実や簡単に調べることができるような事柄については前世の記憶は確かに正しかったのですが、調べるのが少し難しい事柄については、報告された事柄はことごとく事実と異なっていることがわかりました。

 そして、真性異言についても、応答的なものではなく、繰り返し的な発話であり、発音も不正確であったことが明らかになりました。

 ちなみに、真性異言といわれているケースでは、話されている言語を理解できる人が真性異言を本物だと確認したケースは、実際にはほとんどないのが現実です。

 そのため、片言の会話や単語が話されたに過ぎなかったり、めちゃくちゃな言葉が一方的に話されているのを周りが真性異言だと解釈して、それが後世に伝わっていることが多いと思われます。

 このような一方的に語られる真性異言を「朗唱型異言」(recitative xenoglossy)といいます。一方まれな例ですが、実際に習ったはずのない言語で会話ができると思われるケースを「応答型異言」(responsive xenoglossy)といいます。

 応答型異言の報告はあまりないのですが、母国語話者や言語学者などによって調査が行われると、現象が否定されることがほとんどです。真性異言現象を生まれ変わりの強力な証拠としている著書もありますが、信頼できる報告は現在のところ存在しないといってもよいでしょう。