知らぬ間に犯罪に加担させられてしまう「闇バイト」が問題になっている。子どもの身を守るために、親として何ができるのだろうか。
本記事では、池上彰総監修の『いのちをまもる図鑑』(ダイヤモンド社)で第4章「犯罪からいのちを守る」の監修を務めた危機管理の専門家・国崎信江氏に話を聞いた。
(取材・構成/杉本透子)
高収入バイトはすべて疑うべき
――『いのちをまもる図鑑』には、「闇バイト」に巻き込まれないための方法も書かれていますね。「普通のバイト」と「闇バイト」の募集を見分ける方法はありますか。
国崎信江氏(以下、国崎):これは簡単です。「日給5万円」など、報酬が高額なものは怪しいと思ったほうがいいです。「即決即日払い」とかね。どう考えてもまともな仕事ではありません。検索して見つけると「自分だけがお得な条件を見つけられた!」という感覚に陥るかもしれませんが、基本的に都合のいい話は存在しないので。
――確かにそうですよね。
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安心・安全をうたうのは怪しい
国崎:2つめのポイントは、「仕事内容が具体的に書かれていない」ことです。募集要項をよく読んでみると、「ホワイト案件」など信じ込ませようとするキーワードは入っているんです。なぜバイトをするのに「安全」「信頼」「危険なことはありません」と言わなきゃいけないのか。その割に仕事内容がハッキリと書かれていないのが特徴です。
3つめのポイントは、「時間が経つと内容が消えるコミュニケーションツール」に誘導しようとすることです。例えば「シグナル」「テレグラム」といったものですね。
あとは、まだ仕事もしてもいないのに「免許証登録のために免許証が必要」などと言ってきたらアウトです。本当に巧妙な手口で、例えば「政府関係の仕事で機密性が高いので、信用調査のためパスポートと運転免許証を見せていただいています。ご了承いただけますか?」という風に言ってきます。
質問は自衛になる
国崎:その場合は、「具体的にどういう仕事か教えてください」と聞きましょう。例えば相手が「引っ越し作業です」と言ったら、「どういう引っ越し作業なんですか?」と、根掘り葉掘り聞くと、相手が言葉に詰まってきたり、辻褄が合わないことが出てきます。
――闇バイトで募集される職種はどんなものがあるのでしょうか。引っ越し作業という例が出ましたが…。
国崎:例を挙げると、「引っ越し作業」「高齢者の補助」「コンテナに関わる仕事」「長距離ドライバーの補助」といったものがあります。
「怪しい」という直感を信じて
国崎:大事なのは、「なんか怪しいな」という直感です。人間って必ず直感が働くもので、実際に闇バイトで捕まった人も「怪しいと思ったんですけど」と言っているんですよね。なにかおかしい、不自然だと感じたら「闇バイトかも」と疑ったほうがいいです。
もし怪しいと思ったら、募集要項に載っている会社の住所が本当に存在するかどうかGoogleマップなどで調べてみましょう。電話番号が載っていたら、自分の番号が知られないように公衆電話からかけてみて、求人を出している会社が実在しているのか調べることも一つです。
※本稿は、『いのちをまもる図鑑』についての書き下ろしインタビュー記事です。
国崎信江(くにざき・のぶえ)
危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表
女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。国や自治体の防災関連の委員を歴任。『10才からの防犯・防災』(永岡書店)や『おまもりえほん』(日本図書センター)などの監修もつとめる。