東京駅を起点とした
具体的な値上げ額は

 これではイメージが付きにくいので、東京駅を起点とした運賃を比較してみよう。

・東京~小山間(80.9キロ 幹線)現行1520円 改定1600円 5%値上げ
・東京~大宮間(30.3キロ 電車特定区間)現行580円 改定620円 6.5%値上げ
・東京~赤羽間(13.2キロ 電車特定区間)現行230円 改定260円 11.5%値上げ
・東京~新宿間(10.3キロ 山手線内)現行210円 改定260円 19.2%値上げ
・東京~品川間(6.8キロ 山手線内)現行180円 改定210円 14.2%値上げ

 以上のように、区間が短くなるほど値上げ率が増え、特に「山手線内」11キロ以上の区間で値上がりが大きくなる。現在、東京~新宿間はJR(中央線)、東京メトロ(丸ノ内線)ともに210円だが、改定後は50円もの運賃差がついてしまう。SNSでは「もうJRには乗れない」との声も目に付いた。

 なぜJR東日本は都心をターゲットに値上げするのか。それはJR本州三社を輸送面から比較すると見えてくる。

 三社の鉄道事業は収益性の高い「新幹線」と「大都市圏輸送」を中心としているが、全輸送量(人キロ)における割合を見ると、JR東は新幹線が18%、大都市圏(首都圏)が78%、JR西は新幹線、大都市圏(近畿圏)とも38%、JR東海は新幹線が86%となる。

 JR東は大都市圏、JR東海は新幹線が圧倒的に大きいが、JR西はその中間で、姫路、広島、岡山など地方都市でも一定の輸送需要があるため、大都市圏以外の在来線が輸送量の24%を占めているのは注目に値する。

 収入で見ると、JR東は新幹線が33%、大都市圏(首都圏)が63%、JR西は新幹線が56%、大都市圏(近畿圏)が35%、JR東海は新幹線が93%だ。単価の高い新幹線が割合を伸ばすが、JR東だけはなお半分以上を大都市圏が占めているのである。