反国王のモサデクが排除され
親政による開発独裁がスタート
モサデク政権による石油企業国有化に激怒したイギリスは、モサデク政権をクーデターで打倒しようと企みます。しかしイギリスの対外諜報機関MI6(イギリス秘密情報部)だけでは実行不能と判断。同盟国のアメリカに協力を求め、CIAによってクーデターが起こされます。これによりモサデク政権は崩壊。アメリカは、それまで政治的実権を有していなかったパーレビ国王を支援し、傀儡政権とします。
国民の選挙で選ばれたモサデク首相が失脚したことに国民の不満が高まると、パーレビ国王は1957年、CIAとFBI、さらにイスラエルの諜報組織モサドの支援を受けて「国家情報治安機構(SAVAK)」を創設。この秘密警察が反対派を弾圧します。恐怖政治が始まるのです。反政府とみなされると、過酷な拷問を受けました。アメリカやイギリスは、自国の同盟国ではない国のことを「民主的でない」と批判しますが、同盟国は、国内でどのような弾圧をしようと黙認したのです。
石油が豊富だったためにイギリスやアメリカの都合に翻弄される。中東でよくあることが、イランでも起きたのです。
ソ連包囲網の一角イランで進む
上からの近代化=「白色革命」
パーレビ国王を自国の傀儡にしたアメリカは、イランの西欧化を進めます。これは共産主義の「赤色革命」に対抗する「白色革命」と呼ばれました。
イランはアメリカやイギリスに大量の石油を売り、得た資金でアメリカの物品を購入するという構図です。アメリカにとって都合のいい取引です。
それまでのイランは経済的に遅れていたこともあり、アメリカ資本のテコ入れにより、経済は急激に発展します。教育水準が上がり、識字率も向上します。女性の社会進出も進み、若い女性が肌も露わな姿でミニスカートをはいて街を闊歩する姿が見られるようになると、イスラム教徒の保守派の反発が広がります。