小学6年生にとってはいよいよ入試直前期にはいってきました。どのようにして最終的な受験校を確定するのか、きわめて大事なこの時期をどのように過ごせばよいのか……。子どもを本当に伸ばしてくれる志望校の見極め方や選び方、その志望校に合格するための効果的な「過去問対策」、直前期の過ごし方までを、大人気プロ家庭教師の安浪京子先生が詳細に説明した『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』から抜粋して、そのノウハウの一部をご紹介します。
多く受ければいいものではない
首都圏や関西圏では、入試が始まると「初日:午前/午後」「2日目:午前/午後」「3日目:午前/午後」と、この3日の間に午前午後合わせて6つの試験を受ける子も少なくありません。
というのも「受験機会があるならば、なるべく早く1校は合格を取りたい(取らせてあげたい)」という気持ちが家庭にも、塾にもあるからです。
たしかに、プランとしては魅力的です。しかし、プランはあくまで机上の空論。入試日程を組む際は、それ以上に大切なポイントがあります。
①難度は「松竹梅」で組む
憧れの学校というのは、えてして子どもの実力より上であることが多いもの。そんな憧れの学校ばかりで入試日程を組まれるご家庭がありますが、これは非常に危険です。
つまり、全落ちの可能性が限りなく高くなります。不合格は、まだ11、12年しか生きていない小学生にとっても、親にとっても大きなダメージを与えます。もちろん、不合格を乗り越えることによって得られる成長もありますが、確実に合格を取れる学校を組み込むのはマストです。
イメージとしては、自分の偏差値が55、第一志望が60だった場合、偏差値45の「安全校」をなるべく早い入試日程に組み込む形です。初めて解いた過去問で比較的楽に合格最低点を上回れば「安全校」。それでも入試本番で合格できる保証はどこにもありません。
②移動時間
入試日程表に鉛筆やPCを使って志望校を埋めていき、カチリとピースがハマると「完璧なプランができた!」と思います。……が、そこから頭を悩ますのが移動時間。
今はスマホで乗り換え案内を検索すると、駅間の所要時間やタクシーでの移動時間がすぐにわかりますが、電車やバス、あるいは車道がその通りに流れるとは限りません。さらに見落としがちなのが、最寄り駅から学校までの所要時間。徒歩なのか、路線バスなのか、スクールバスなのか……はたまた駅に自家用車で待機すると決めても、車を停める場所はあるのか等、下見は必須です。
読めないと言えば、午前受験校の面接の終わり時間が読めないケースも少なくありません。できる限り学校に聞いておきましょう。
③体力
午後入試を実施する学校は、受験生たちが午前の受験校から移動してくることを承知しています。よって、入試開始時間が15時、あるいは16時という学校もあります。
とはいえ、午後入試のスタートが遅ければ「間に合わない」というリスクは免れますが、逆に終了時刻は遅くなります。16時スタートで19時に終了し、帰宅したら21時を回っていた……それから夕食、お風呂を経て22時過ぎに就寝、しかし2日目はまた朝5時起きとなると、体力が持ちません。
受験生にとって一番大切なのは「体力」。どれほど模試の判定が良く、過去問で点数が取れていても、体力が低下していてはパフォーマンスが発揮できません。
Kちゃんは、入試初日から3日目まで、午前・午後と6回受験も可能でしたが、体力温存のため午後入試はすべて見送りました。入試日程は子どもの体力を必ず考慮しましょう。
④過去問
受験校が増えれば増えるほど、解かねばならない過去問も増えます。たとえD校とE校が偏差値上「安全校」であったとしても、過去問を実際に解いてみないと本当に安全かはわかりませんし、もし合格最低点に達しない場合は、複数年過去問を解く必要があります。
また、入試会場に向かう前に、各々の学校の攻め方をその都度確認する必要があります。入試期間中、子どもはそれほど器用に攻め方を切り替えられないため、受験校の種類が膨れ上がるのは避けましょう。
入試日程は多数プランを持っておく
どれほど「大丈夫だろう」というプランで入試日程を組んでも、入試は何があるかわかりません。「絶対安全」と言われていた安全校をあっさり落としてくることもあります。
よって、入試日程は複数プランを用意し、2日目以降は「複数出願」をしておくことをおすすめします。たしかに無駄になる受験料が発生しますが、まさかの辛い結果が続く場合、慌てて出願できる学校を探しても冷静な判断はできません。
*本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成したものです。