2 食事がおいしいかどうか
――2つめは食事がおいしいかどうか?
田村:施設に入ると、基本的に1日3食、365日、そのホームで提供される食事を食べることになります。要介護状態になれば、外に食べに行く機会はほとんどなくなるので、食事の質が生活の満足度に大きく関わってきます。
食事の提供方法にも違いがあって、職員が直営で作る場合と外部委託する場合があります。委託先の業者がどのような品質の食事を提供しているのかは、噂や口コミである程度情報が得られると思います。私は個人的に、できれば直営の方が安心だと考えています。
――直営の方がいいのはなぜですか?
田村:同じ介護職員も、食事を担当する職員も、施設が直接雇用している場合だと、情報共有がしやすいんです。例えば、「この入居者さんはこういう介護が必要だから、それを配慮した食事をお願いしたい」といった要望もスムーズに伝わります。
また、基本的にホームの食事は年間スケジュールや月間献立表が決まっている「給食メニュー」です。要介護状態の方は、自分で食べるか食べないかの選択も難しいですし、「これか…」といった感じで受け入れるしかない場合が多いんです。そういう状況を少しでも改善するには、メニュー作成の段階で入居者側が意見を言える仕組みや、たとえば、3種類の中から1つを選べるといった仕組みは、好き嫌いがある方にとって大きな助けになります。
イベント食のように食事そのものを楽しみにできる工夫がされているかどうかもチェックポイントです。日々の生活において、食事の満足度はとても大きな要素ですから、しっかり試食して確認しておくことをお勧めします。
――食事面でほかに気にしたほうがいいことはありますか?
田村:嚥下障害や治療食に対応できるかどうかも重要です。治療食に関しては病院との連携が求められ、薬の内容に合わせて食事を調整するなど、非常に細かい指示が必要になることがあります。
また、自炊ができるかというのも一つのポイントです。要介護状態になれば、ほとんどの方が自炊は難しいと思いますが、自立した状態で入居される場合、自炊ができる環境があると選択肢が広がります。毎日決まった食事を食べるだけではなく、自分で作る楽しさも生活の質に影響しますからね。