日々勉強、おにぎりの食べ方も
改善に努める
石破 海産物に加え、コメや肉の輸入についても確認していますし、拘束が続く邦人の解放や、昨年9月に起きた深圳の日本人学校の小学生が刺殺された事件の全容解明など、日本として言わねばならないことを伝えています。しかし話題になるのは両手で握手しただとか、そういうことばかりです。
他の会談にしても、米国のバイデン大統領との会談や、韓国の尹錫悦大統領との会談は、エキサイティングでスリリングなものでした。しかしニュースにするには面白くないからか、あまり取り上げられません。むしろおにぎりの食べ方だとかの方が面白おかしく報じられてしまってね。そんなことで事の本質が報じられなくなるのはつまらないので、私自身も改善に努めたいと思います。
池上 どういう改善をされるんですか。
石破 いや、おにぎりは一口で食べないようにする、とか。
池上 ははは。一挙手一投足が話題になりますからね。
石破 今までは、一口でよかったんですよ。農家の方が一生懸命に作ったお米で、たくさん用意してくれたおにぎりだからね。一つもらって終わりということではなくて、二つ、三つ食べて、「ああ、そんなにおいしかったんだ」と喜んでもらいたいのでね。
池上 その真意が伝わらない。
石破 あるいはAPEC(アジア太平洋経済協力会議)での振る舞いについても、各国首脳で座って握手する人もいっぱいいれば、合間にスマホで情報を確認する人も何人もいました。しかし一場面を切り取ることで、格好のネタになったのでしょう。「スマホばかりいじっている」とか「おにぎりを一口で食べるとんでもないやつだ」とか。
だから昨年12月末の「日本経済新聞」の世論調査では、石破内閣を支持しない理由の上位に「国際感覚がない」が入っていました。ああ、こういうことなのね、と(笑)。為政者たるもの、批判されるのが仕事ではありますが、批判される材料は一つでも減らさなければならない。日々勉強であります。