池上彰が断言
石破構文は改善できる

池上 ここまでの首相のお話を聞いていると、とても丁寧に順を追って分かりやすく説明してくださるのはいいのですが、これでは結果的に説明が長くなって、国民に真意がなかなか伝わらないのではないかと思いました。今のお話を短く新聞やテレビで報道するときには、メディアは苦労するんじゃないかと。

池上彰が石破首相に直撃「石破構文は改善できる」「企業・団体献金廃止になぜ反対か」【池上無双炸裂】対談前編いけがみ・あきら/1950年長野県松本市生まれ。慶應義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。1994年から11年にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年よりフリーに。今さら聞けないニュースの本質をズバリ解説。テレビでも大活躍中。著書は、『歴史で読み解く!世界情勢のきほん』(ポプラ新書)、『知らないと恥をかく世界の大問題14 大衝突の時代…加速する分断(角川新書)、『池上彰の世界の見方 北欧 ~幸せな国々に迫るロシアの影~』(小学館)、『池上彰が大切にしている タテの想像力とヨコの想像力』(講談社+α新書)など多数。 撮影:原 貴彦

石破 これが世にいわれる石破構文というもので……。

池上 なるほど(笑)。

石破 分かりやすく話す努力は今後もなお、必要ではありますが、精緻な議論をすっ飛ばして結論だけ求めるのはあまりいいことだとは思っていなくって。「何でもいいから、早く結論を言え!」というのは、危ないよと思っているんですね。あんまり分かりやす過ぎると、論理が飛んで正当性を維持できなくなるということがあるんだろうと思うんです。

池上 それはもちろん分かります。ただ、私もいろいろなところで分かりやすい解説をしていますけれども、正確さを担保した分かりやすさ、は実現可能だと思うんです。話の順番を変えるだけでも、聞く側の印象は変わりますから。この話から始めればいいのに、もったいないと思うことが多々あるのですが(笑)。

石破 改善に努めたいと思います。

総理大臣になったのは
「神から下った天命」と思うか

池上 ここで少し話を変えましょう。石破首相の『石破茂語録 主よ、用いてください』(アダム書房、新第5版)を読ませていただきました。石破首相はキリスト教徒で、クリスマスには礼拝にも参列されていましたね。

石破 ひいじいさんから数えて4代目のクリスチャンで、18歳のときに洗礼を受けました。政治家をやっているとクリスマスの礼拝には参加できないことが多いですし、なかなか地元に帰ることもできないので、所属している鳥取教会にも通えません。

 そこで赤坂議員宿舎から歩いて10分くらいのところにある富士見町教会に行きました。昔は片山哲首相や、初代衆議院議長の松岡駒吉さんなどが通っておった歴史のある教会です。

池上 今回、総理大臣になったのは、やはり神からの天命が下ったとお考えになっていますか。

石破 そうだと思います。天命に応えるべくやろうとはしていますが、実際には日々、間違いだらけでしょうから、「過ちを正してください」とお祈りしています。「神様のご用のために、私のようなものでもお使いください」と。