2024年1月1日に発生した能登半島地震から1年が経った。南海トラフ地震や首都直下地震など巨大地震の脅威も去らぬ中、断片的な防災知識ではなく最先端の科学技術や専門家の知見に基づいた正しい防災知識を身につけたいと考える人も多いのではないだろうか。
本記事では、池上彰総監修『いのちをまもる図鑑』(ダイヤモンド社)で第2章「自然・災害からいのちを守る」の監修を務めた危機管理の専門家・国崎信江氏に「アップデ―トすべき防災知識」を聞いた。
家で過ごす時間が増える年始、防災対策を見直してみては?(取材・構成/杉本透子)

【生死を分ける】大地震で家族とバラバラ! 真っ先に探すべきモノとは?Photo: Adobe Stock

家族と連絡がとれないときは「公衆電話」を使う

――地震が起きたときに子どもと離れていて携帯電話も通じない場合、どんな連絡手段が取れるでしょうか。

国崎信江氏(以下、国崎):家族と連絡が取れないのは、とても不安ですよね。『いのちをまもる図鑑』にも書きましたが、災害時に家族と連絡をとる場合「公衆電話」がひじょうに重要なツ―ルとなります。

――公衆電話なら、災害時でも通じることが多いと聞きます! でも、最近は台数が減っていて、どこにあるかパッとわからないかも……。

国崎:日頃から、NTT東日本・NTT西日本の「公衆電話 設置場所検索」というペ―ジでお子さんと一緒に自宅付近の公衆電話を確認しておくといいと思います。それから「全国AEDマップ」というのもあるので、一緒に調べておくといいですね。

わが家では「国崎家の防災マニュアル」を作っています。A4サイズの紙に両面ぎっしり、家族との連絡手段や、地震が起きたときに誰を頼るか、どこに避難するかということを具体的に書いています。その際に家族で近くの公衆電話の位置、AEDの位置を確認しています。

災害用伝言ダイヤルだけでなく、何通りもの連絡手段を伝える

――それはいいですね。A4の紙1枚であれば子どもも見やすそうです。

国崎:いざというときの連絡の取り方もわが家では7通り考えていて、まず携帯電話、公衆電話、災害用伝言ダイヤル「171」、LINEなどのメッセ―ジアプリ、コミュニティFMに安否連絡のリクエストをする、親戚の家へ伝言を依頼する、家に張り紙をするなど、ひとつの方法がダメなら次、という風に選択肢を取れるようにしています。

コミュニティFMは地域ごとに放送されるもので、災害時にも役立ちます。過去の災害ではコミュニティFMが「僕の名前は〇〇です。お母さん、お父さんを探しています」とか、「このラジオを聞いたら連絡してください。僕は〇〇にいます」というふうに安否確認のリクエストも受け付けて放送していました。

平時に「もしもの準備」をしておくことが大事

――なるほど。ちなみに子どもが災害用伝言ダイヤルを利用する場合、親の携帯番号を覚えていないと使えないのでしょうか?

国崎:お子さんも被災地にいる状況であれば、自宅の固定電話番号または保護者の携帯電話・IP電話の番号をダイヤルします。どの番号を使うかを事前にご家族で決めておき、それを防災マニュアルに書いておくといいでしょう。災害用伝言ダイヤル「171」の使い方は『いのちをまもる図鑑』の中で詳しく説明していますが、お子さんといっしょに使い方を覚えておくのがおすすめです。
実際に使ってみることのできる「体験利用提供日」もあるので、チェックしてみてください。

【体験利用提供日】
防災とボランティア週間(1月15日9:00~1月21日17:00)
毎月1日,15日00:00~24:00
正月三が日(1月1日00:00~1月3日24:00)
防災週間(8月30日9:00~9月5日17:00)

【生死を分ける】大地震で家族とバラバラ! 真っ先に探すべきモノとは?『いのちをまもる図鑑』では、公衆電話の使い方や災害用伝言ダイヤル「171」の利用方法が解説されている。
イラスト:五月女ケイ子
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※本稿は、『いのちをまもる図鑑』についての書き下ろしインタビュ―記事です。

『いのちをまもる図鑑』第2章監修者
国崎信江(くにざき・のぶえ)

危機管理アドバイザ―。危機管理教育研究所代表
女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。国や自治体の防災関連の委員を歴任。『10才からの防犯・防災』(永岡書店)や『おまもりえほん』(日本図書センタ―)などの監修もつとめる。